Vol.3 とぎ保育園

開園を待ちわびていた園児

遊戯室。丸みを帯びた天井は大断面集成材工法の骨組みでつくられている。床は一般の体育館と同じ構造で、積雪時でも運動したり遊んだりすることが可能。

高い天井の遊戯室

アトリウムの突き当たりは園児たちの大好きな遊戯室である。天井は高く丸みを帯びている。ここに使われている長さ約14mにわたるアーチ梁は、大断面集成材で造られているそうだ。園児やたくさんの保護者の方が集まっても、のびのびと遊戯や体操を楽しめる広々した空間で、風通しもとてもよい。床のフローリングは一般の体育館と同じ浮き床構造となっており、衝撃を緩和吸収するのだそうだ。遊戯室の隣は図書コーナー、いろいろな絵本が並んでいる。保育士さん手作りのキャラクター柄の椅子がほほえましい。

1.2歳児の保育室に面した庭。
土のグラウンドに対してこちらは芝生の仕様になっている。

デザインと機能性

続いて外へ出てグラウンドに向かった。木をふんだんに用いたさまざまな遊具が設置されている。木登りできそうなスギの丸太を使ったパーゴラの下には砂場があり、衛生面にも配慮した抗菌砂が使用されている。また建物の外観に目をやると、空調の室外機が、おしゃれな丸い穴の空いたブロックで囲まれていた。熱がこもらないようにデザインされたということだが、保育園ではこのブロックを利用して花を飾りつけ、7月に開催された花コンテストに参加。そして見事、教育長賞を受賞したとのことである。施設の一部を使っての作品作りとは素晴らしい。

村上栄子所長(右)から話を聞く筆者。

園児たちに望まれた開園

最後に事務室で、とぎ保育園所長の村上栄子さんにお話を伺った。6ヵ所の保育所の統合ということで、当初は保護者の方、園児たち、保育士さんも不安を感じていたそうだ。しかし完成間近のころ、新しい保育現場でのシミュレーションを行い、園児も保育士も事前準備ができたということであった。また工事期間中も通りかかった園児が「がんばってね、4月からくるよ」と施工者に手を振る姿も見られたという。開園を待ちわびていた園児の気持ちが伝わってくるエピソードである。

幼き日に想いをはせる

子どもたちにとって、家のなかから外の世界への第一歩、初めての社会参加の場となる保育園。「とぎ保育園でお友だちと楽しく遊んだことを卒園後も忘れないでほしい」と村上所長は笑顔で語られた。大きくなっても思い出の風景のなかにこんな素敵な保育園があるのは、とてもうらやましく思う。帰り道、車内で私は幼い日を懐かしく思い出していた。