Vol.9 早稲田大学大隈講堂

大学のシンボル的存在

西側低層部の夜景。

卒業生の思い出のベン図

ハンカチ王子効果か、最近よくわが母校、早稲田大学の話題をテレビで見る。今年の東京六大学野球、春季リーグ戦で早稲田が優勝したときの提灯行列は、私の郷愁を思いきり誘ってくれた。「懐かしいね」と学生時代の友人に話したら、「そうだっけ?」とつれなかったけれど。
まあ、こんなもんだ。思い出は1人ひとつずつで、そのベン図が重なった部分しか共有できないのだろう。
そんなときに聞いたのが、大隈講堂の改修工事である。母校の施設が充実するのは喜ばしいことだし、あれだけ古い建物だから補強や修理も必要なのだろう。でも、大隈講堂は特別だ。たぶん何十万人もの早稲田大学卒業生の思い出のベン図が、最も色濃く重なる場所だと思うから。少なくとも私には、ぴかぴかの大隈講堂なんて興ざめである。

早稲田大学創立125周年記念事業の本計画についてキャンパス企画部の尾崎健夫さん(中央)に伺う。

創建以来の大規模改修

「あっ、おんなじ」
それが第一印象だった。クリーニングしたかのように全体的にきれいになった感はあるが、卒業式の日、友達と記念写真を撮ったときと変わらないたたずまいに一安心する。早稲田大学キャンパス企画部の尾崎健夫さんにお話を伺う。
「大隈講堂は、校歌と並ぶ大学のシンボル的存在です。東京都の歴史的建造物にも選定され、学生や校友はもちろん、街の方々など多くの人に愛されている建物ですから、改修にあたっても、やはりその思いを裏切ってはいけないというのが大前提でした」
大隈講堂は、小講堂と上部席を含む大講堂からなる地下1階、地上3階建ての建物だ。正面左には創立者・大隈重信持説の「人生125歳説」にちなんだ125尺の時計台(鐘楼)がそびえている。今回の改修は、早稲田大学創立125周年記念事業の一環として行われた。1927年(昭和2年)の創建以来、これだけの大規模改修は初めてだという。