Vol.11 仙台市天文台

新天文台誕生を支える土台

1.3m望遠鏡観測室の内部。望遠鏡の設置部分と建物の床は切り離されており、建物内で人が歩く振動も望遠鏡に伝わらないよう配慮されている。

1.3m望遠鏡の土台部分。建物で通常発生する微弱な振動は、4Hz以上であれば大型望遠鏡のコンピュータで制御できるため、望遠鏡を設置するピア基礎の固有振動数を4Hz以上にすることが要求された。

星空を愛する情熱

大型望遠鏡に、ハイブリッドシステムのプラネタリウム。“宇宙を内包した建物”は、建築の面でも多くの苦労があったに違いない。
「実は当社が天文台を手がけるのは初めてのことです。この建物のために他県の天文台を見学もしました。地震が多いと言われる宮城県なので、固い岩盤の上にあるこの錦ケ丘の土地が選ばれました。通常、この規模の建築物では基礎は2mくらいで十分なのですが、地下5mの深さにある岩盤の上に基礎を築きました。天体の観測には地震だけでなくほんのささいな揺れも影響します。そのため建物の振動対策には本当に神経を使いました」(船田所長)
私たちに夢を与えてくれるこの建物には、建設にかかわった人たちの苦労が随所に隠されているのだ。

1階のトランジットホールは、来館者がここから観測ゾーンや展示ゾーンに容易にアプローチできる配置で、人が集い、賑わい、交流が自然に生まれるよう計画されている。また、天文学や宇宙に関する本が置かれている天文工房もあり、天文台を訪れる多くの人たちが十分楽しめるスペースが広がっている。
「子どもたちのために仙台に本式の望遠鏡を」という市民の情熱によって1955年、旧「仙台市天文台」は生まれた。時を経て、星空を愛する情熱は確かに引き継がれ、天文台は新しく生まれ変わった。仙台は藩政期から天文学が盛んだったところ。今も夏は七夕まつりで賑わい、「仙台と宇宙」は深い縁で結ばれている。仙台とはるかかなたに輝く星たち。その距離は案外近いのかもしれない。

施設案内
開館時間:9時─17時(土曜日は21時30分まで。展示室は17時まで)
休館日:月曜日・第3火曜日(祝日の場合は翌平日)・年末年始・ただし、学校長期休業中は開館。
URL:http://www.sendai-astro.jp