
エントランスホールより待合いロビー方向を見る。左手は収骨室。右手、ピアノの奥は待合室。なめらかな凸凹を繰り返す曲面天井は、大きな照明器具としても機能している。来館する遺族たちの心境に配慮し、目に直接照明の光源が入らぬよう曲面天井全体を間接照明のように面発光させる方式が採用されている。また、場所に応じて粒状の天井仕上げ材の粒度を使い分けることで、館内全体にやわらかい光が拡散するよう調整されている。
待合ロビーにあるものを見つけた。一般的な斎場ではおそらく見ないであろうもの……、それはグランドピアノ。斎場でピアノ……?? 不思議そうに見ていた私に、各務原市の五藤龍彦環境部長が説明して下さった。
「このロビーで定期的にミニコンサートを開きます。斎場でコンサートなんて……と思われるかもしれませんが、意外にも市民の皆さんに好評なんです」
市民からのアイデアで始まったコンサートは、友引の休館日に開催される。これまでに、すでに4回開いているという。最初のチェロコンサートは、予約開始30分で満員に達したというからさらに驚いた。確かにこのロビーは天井が高く、音が響き渡りそうな気がする。毎回多くの市民が訪れる特別なコンサート。その中には、かつてこの斎場で主人を見送ったという女性の姿もあったという。
今年の12月にもフルート・リサイタルが予定されているという。きっとこのときも、ロビーには、人があふれるのだろう。

本計画を進めた各務原市の五藤龍彦環境部長(中)から公園墓地というコンセプトとこの建物についてうかがう。
「この斎場が出来てから、市民の斎場に対するイメージが変わりました。ここは斎場であり文化施設でもあるんです」と五藤環境部長。最愛の人との別れの場所に再び足を運び、音楽に耳を傾けながら故人を偲ぶ。ただ遺族が故人との別れを惜しみ、悲しみに包まれる場所ではない。この斎場は新しい人との出会いを生み出し、創造的な文化や豊かな心を生み出す場所でもあるのだ。
斬新かつ先鋭的なデザインを持ち、水と緑に囲まれたこの「瞑想の森市営斎場」は、公営斎場の新しい可能性を示しているように思えた。





