想いを築く

Zoom UP 現場 函館国際ホテル耐震補強・建替工事

北海道函館市地図

“ジャイアン”が大活躍!
老舗ホテルのリニューアル工事

国内外から数多くの観光客が訪れる函館の街。
現在、その中心部に建つ大型ホテルの改修・建替工事を当社が手掛けている。
揚重作業の新技術も活躍する、その現場を訪問した。

年間500万人以上の観光客が訪れる函館の街。例年より1カ月ほど早く雪が舞い始めるなか、JR函館駅前にはアジア圏を中心とした多くの観光客が行き交う。地元タクシーの運転手いわく、こうした観光客の宿泊需要に応えるため、今函館はホテルの建設ラッシュだそうだ。現在当社により改修・建替工事が行われている函館国際ホテルは、JR函館駅から徒歩数分の好立地にあり、1971年の開業以来、長年函館の人々に親しまれてきた由緒ある老舗ホテルである。
ビフォー(現況写真)&アフター(完成予想パース)

3棟で同時進行する複雑な工事

現場の中林卓也作業所長はこう話す。
「このホテルには大きく4つの既存建物があります。このうちの1棟(R棟)は現在も営業中で今回の工事範囲ではありません。ほかの3棟については内外装のリニューアルを行っています。このうち、敷地中央の低層棟と呼んでいる建物については、既存の中央部分を解体し、そこに地上13階建ての建替棟を新築します。また南側の補強棟と呼んでいる建物は、完成から歳月が経っていることもあり、耐震補強工事を行ううえで重量を減らすために既存の8階建てを4階建てに減築する工事を行っています」。
この工事は上部を解体する際に、残す下の部分に影響を与えないようにする必要があるため、本社建築工事技術部の協力のもと、解体時に最終的に屋上となるスラブに荷重が伝わらない対策が施されている。また減築は当社としても珍しいもの。工事の進捗に伴う荷重の差異など、その貴重なデータの記録を実施している。
施工だけでなく実施設計も当社が担うこのプロジェクトでは、BIMを活用したフロントローディングにも取り組んでおり、プロジェクトの早期に意匠・構造・設備の不整合を洗い出すことで、手戻りの少ない工事を実現している。

工事現場図

“ジャイアン”は強風にも動じない

この現場の最大の見所は何といっても吊荷旋回制御装置“ジャイアン”である。
従来は躯体の鉄骨や外壁のPCa板、カーテンウォールなどをクレーンで揚重する際に、強風やクレーンの動きに伴って吊っている資材が旋回し、作業効率や安全性に大きな影響を与えることがあった。しかし当社が開発したこの“ジャイアン”を用いることで、吊荷が一定の姿勢を保ち、作業者の意思通りのスムーズで安全な作業が可能となる。
「目の前に函館湾が広がるこの街は風が強いのが特徴です。これまで風の強い日などは揚重作業ができず工程や資材の搬入計画にも悪影響が出ていました。今回、“ジャイアン”を鉄骨の揚重に使用したところ、作業員の人たちからも絶大な効果があると大好評です。2tほど重量があるシステムなので使用するクレーンを選ぶかもしれませんが、今後、このシステムは全国の現場で活躍すると思います」(中林作業所長)。
取材時には建替棟の鉄骨建方が行われていたが、我々の目の前で大梁が地面から所定の位置まであっという間に据え付けられていく様子は圧巻であった。

技術ポイント

揚重作業の効率と安全性を向上させる“ジャイアン”

“ジャイアン”は、“ジャイロ機構”による“安全”な揚重作業を可能とすることから命名された。
この装置は、内蔵するフライホイールを高速回転させ、そのジャイロ効果によって発生する旋回モーメントを吊荷旋回制御用の駆動力としており、風やクレーンの動きに影響されず、吊荷の姿勢を一定に保持することができる。
実際の作業において、クレーンのオペレーターは、“ジャイアン”の上部に設置されたLEDによって吊荷の位置を確認しながら、運転室内に設置されたモニターで吊荷の取り付け予定位置を設定する。その結果、“ジャイアン”は自らの位置と取り付け予定位置が平行となるように自動で旋回し、所定の位置で静止する。

ジャイアン写真

Pepperも働く先端の現場

このような最新機器を導入しているこの現場は、ほかにも生産性向上にかかわる様々な可能性を追求している。その一つが設備配管の先行搬入であり、鉄骨梁と一緒に後で取り付ける設備配管を揚重することで作業効率の向上を図っている。また札幌支店として初めてヒューマノイドロボットであるPepperを導入、新規入場者教育に活用している。
「現場の生産性向上を実現するためには、こうした新しい技術やちょっとした工夫を取り入れるとともに、社員がメリハリをもって働くことがとても大切だと感じています。北海道はいよいよ本格的な冬を迎えて厳しい作業環境となりますが、1年後の竣工を目指して無事故を第一に、お客さまに喜ばれる建物ができるようにがんばっていきたいと思います」(中林作業所長)。

《現場社員コメント》

高橋副所長写真

高橋副所長「明るく、元気に、前向きに」ということを大切にしながら、お客さまや設計事務所の方と一緒に工事を進めています。

菅原副所長写真

菅原副所長寒い朝は鉄骨が凍ったりもする環境のなか、若い社員と一緒にしっかりと工事を進めたいと思います。

加藤(芳)係員写真

加藤(芳)係員私のモットーは「チャレンジすること」。ここは若い人が多いので、上の世代とつなげるような役割を担いたいですね。

山下係員写真

山下係員街の中心にあり、周囲に観光客も多く行き交う大きな物件ですので、やりがいを感じながら日々仕事に携わっています。

加藤(宏)係員写真

加藤(宏)係員支店のなかでも特に大きな現場なので、ここに配属されたからには最後までしっかりと自分の役割を果たしたいです。

今川係員写真

今川係員プロジェクトの初期から担当しています。お客さまが営業されている隣で作業を行うという難工事をやり遂げたいと思います。

塩田係員写真

塩田係員私はここが2つ目の現場ですが、改修や新築など多くの工種が経験できるこの現場で貧欲に勉強したいですね。

《作業所長コメント》

中林作業所長写真

札幌支店 建築工事部 工事2室
作業所長 中林 卓也
「初心を忘れず、思いを言葉に、意思を形に」ということが私の信念です。
初心とは良い建物をつくり上げ、しっかりと利益を上げるということ。忙しく厳しい状況の現場でもこれを決して忘れず、そして仕事の相手に対しては明確な言葉で、詳細な内容を目に見える形で伝えることを大切にしたいと考えています。

工事概要

集合写真
工事名称 函館国際ホテル耐震補強・建替工事 概要
敷地面積
17,131m²
建築面積
8,334m²
延床面積
29,532m²
新築
建替棟(地上13階/S造)
改修
低層棟(地上2階/1階:RC造、2階:S造)
補強棟(地上8階・地下1階を地上4階・地下1階に減築/SRC造)
東館(地上7階/SRC造)
R棟(地上8階/SRC造)
工事場所 北海道函館市大手町5-10
発注者 (株)函館国際ホテル、函館特定目的会社
設計・監理 当社(PM 山島 勝 主管)
(株)安井建築設計事務所(外装・共用部設計監修)
(株)MKJ(客室設計)
施工 当社単独
工期 2017年3月~2018年11月 用途 ホテル(総客室数 435室)