想いを築く

Zoom UP 現場 がん陽子線治療センター新築工事

「病院の戸田」がつくる、最先端のがん治療施設

中国地方の山々に囲まれた岡山県北部最大の都市、津山。この地の基幹病院である津山中央病院において、現在、当社の設計・施工により、中国・四国地方で初の「がん陽子線治療施設」が建設されている。

岡山県津山市

人口約10万人。古くから津山藩の城下町として、また出雲街道の宿場町として栄えてきた。津山城跡の「鶴山公園」は日本桜名所100選のひとつ。ご当地グルメとして有名な津山ホルモンうどんのほか、近年注目を集めている「干し肉」も美味!

陽子線治療施設とは

日本人の2人に1人はかかるといわれている「がん」。その主な治療法には手術、化学療法、そして放射線治療の3つがあり、中でも放射線治療は近年の技術向上により大きな効果を上げるようになっている。特に今、注目を集めているのが陽子線などの粒子線を用いる治療法で、病巣のみを狙い撃ちできるこの方式は、患者への負担を最小限に抑えることができる。
現在、当社が手掛けている津山中央病院のがん陽子線治療施設は、全国で11施設目(予定)、中国・四国地方では初となるものであり、完成後、津山中央病院が岡山大学病院と共同運用することで、中国・四国地方におけるがん治療の拠点となることが期待されている。現場で迎えてくれた中田栄治作業所長はこう話す。「当社として初めてがん陽子線治療施設を手掛けるという難しさはありますが、『病院の戸田』としてお施主さまの期待に応えられるよう取り組んでいます」。

水と放射線を遮る躯体の構築

現場は2月に躯体工事が終わり、現在は内外装工事の最盛期を迎えている。また同時に別途工事として三菱電機による機器の据え付け作業が行われている。中田作業所長は言う。「この施設の核となるのが回転ガントリー照射装置(※1)および加速器装置(※2)の最新装置類です。最先端かつ極めて高価なこれらの装置は外部からの水の浸入および湿気による結露によって性能を損う可能性があるため、工事中並びに完成時において建物をドライな環境に保つことが求められました」。このためポンプを配置し建物周囲の地下水位を下げ続けることで、躯体を通して水が入る漏水リスクを軽減し、ドライな環境保持に工夫を凝らしている。
また躯体の品質確保も大きなポイントだったと中田作業所長は語る。「放射線を扱う施設ですので、装置を配置するエリアには最大で厚さ2・5mの放射線遮蔽躯体を構築する必要がありました。この管理として、コンクリート比重管理、ひび割れ抑制対策、コンクリート躯体の厚さの管理が求められました。要求品質を確保するため、本社並びに支店の技術スタッフの皆さまにもお力添えをいただき、比重管理値の設定並びにマスコンクリート(※3)のひび割れ抑制の解析と検討を重ね、工事を行いました」。
厚さ2・5mという躯体の構築。そのコンクリート打設においては昨今の労務不足に悩まされたそうだ。「特に遮蔽躯体の追込み時期である昨年12月は、1カ月間で2000㎥以上のコンクリート打設を行うべく、関係協力会社と納得いくまで打ち合わせを行い、工程表を作成し工事を進めました。また、津山の冬季は夜間氷点下まで冷え込むため、凍結によるコンクリートの品質低下を防ぐためジェットヒーターで採暖し養生を行いました。現場スタッフには本当に感謝です。三菱電機さんの装置搬入時期など、全体工程におけるマイルストーン管理には常に細心の注意を払い現場が一丸となって、遅延がないよう進めました」(中田作業所長)。
完成を秋に控えるなか、中田作業所長は言う。「お施主さまにご満足いただける建物をしっかりとつくり上げたいですね。また、ここでの実績や経験が戸田建設のがん陽子線治療施設の礎となるよう、ノウハウを積み重ねたいと思います」。

  1. 陽子線を照射する装置。
  2. 陽子線を最大で光速の70%にまで加速させる装置。これをガントリーから照射する。
  3. 部材断面が大きく、そのためセメントの水和熱による温度上昇でひび割れが入る危険性のあるコンクリートのこと。

技術ポイント
上部スラブ開口から装置を搬入する当社初の工事

今回病院に搬入する回転ガントリー装置は、世界最小級であるが、それでも総重量は約180tもある。従来の搬入・組み立てでは、壁面に搬入開口を設け、ガントリー室内に天井クレーンを配置し、組み立てる工法であった。この工法はガントリー室内に有効高さが12m以上を必要とするうえ、天井クレーンはガントリー装置の組み立て完了後は稼働することはなく、コストパフォーマンスが低い。当現場は、ガントリー室の天井スラブに9m×10mの大開口を設け、搬入・組み立てを行うことで、天井クレーン工事の削減を図った。
また、ガントリー室内の有効高さも12mから約8mに低減することができ、コスト削減にも寄与した。
施工上の課題は大開口部からの雨水浸入防止と塞ぎ躯体構築である。開閉式の仮設テントの設置と、PC梁(重さ約24t)製作・据付後にPC床版を施しノンサポート工法で遮蔽躯体を構築中である。

向井社員コメント外装を担当しています。確実な仕事をするため、この先の作業を想定しながら自分自身で描く工程表を大切にしています。日々現場の状況を勘案しながらも、全体の進捗をしっかりと守れるよう心掛けています。

中山社員コメント内装担当です。ガントリー装置の設置後、その空間で鉄骨建て方などを行っています。最も近い部分は4cmしか離れていませんので、養生をしっかりと行い、慎重の上にも慎重を重ねて作業をしています。

柴田社員コメント最先端機器の真上で24tものPC梁を設置するなど、前例のない工事を行う現場ですので、本支店・作業所一丸となり取り組み、綿密な計画と確実な施工を心掛けました。

作業概要

工事名称 がん陽子線治療センター新築工事 工事概要 地上3階、地下1階
RC造、S造
敷地面積 60,205.54㎡
建築面積 2,286.32㎡
延床面積 3,938.28㎡
最高高さ 19.71m
用途 病院(陽子線治療施設)
工事場所 岡山県津山市川崎1756
発注者 一般財団法人 津山慈風会
設計・監理、施工 当社
工期 2014年4月~2015年10月