2000年2月21日

戸田・西松業務提携による成果の第一弾

 戸田建設(株)(社長:戸田守ニ)と西松建設(株)(社長:金山良治)は、昨年10月4日の業務提携発表以来、共同で技術開発を推進してきましたが、その第一弾として、高層建築物を対象とした「デュアル制振デバイス」を開発しました。

 阪神・淡路大震災から5年が経過しましたが、この間大地震を対象とした様々な制振技術が開発され、最近では低降伏点鋼やオイルダンパーなどが超高層建築物に採用されています。制振技術を採用する場合、建築計画上の制約から制振デバイスの設置場所が制限されることや、制振デバイスのコストが高いことなど解決すべき課題があるのが現状です。少ない設置数で制振効果をあげ、コストを低減することが制振技術の普及の鍵となります。

 今回共同開発した「デュアル制振デバイス TN-DHD」(※1)は、対象とする風や地震などに対して特性の異なる2種類の制振デバイスを組み込んだ複合制振デバイスです(特許出願中)。

 デュアル制振デバイスには、履歴系デバイスと粘性系デバイスを用いています。履歴系デバイスは、大地震を対象とした低コストの低降伏点鋼パネルです。粘性系デバイスは、強風・地震を対象としたオイルダンパー、または粘弾性ダンパーです。

 特性の異なる制振デバイスを複合することで、日常の強風から大地震まで幅広い外乱による揺れを効果的に低減することができます。特性の同じ制振デバイスを建築物内に数多く設置する場合に比べて、同等以上の制振効果をより少ない設置数で得ることができます。コストの高い制振デバイスと低コストの制振デバイスを複合し、デバイス取り付け部を共用することでコストを低減できます。高層建築物のシミュレーション結果では、デュアル制振デバイスは単独の制振デバイスを用いる場合に比べて、コストを30%以上低減できました。

 デュアル制振デバイスの開発では、高層建築物を対象とした数多くのシミュレーション解析により、デバイスの最適な複合タイプを検討してきました。単独の制振デバイスは、既に構造実験による性能確認を終えて、超高層住宅において実用化していますが、これをさらに改良したものをデュアル制振デバイスに採用しています。例えば低降伏点鋼パネルは地震時に軸力が加わっても制振効果が低下しないパネル構成としています。また、オイルダンパーは季節風による微少変形に対しても制振効果が発揮できる広域調整型ダンパーとしています。

 今回、戸田建設技術研究所において、デュアル制振デバイスの基本的なタイプについて、動的載荷実験を実施して、エネルギー吸収性能等の複合特性およびシミュレーション・モデルの確認を行いました。
デュアル制振デバイスは、現在計画中の高層ホテルをはじめ、複数の超高層建築物において採用を検討しています。

 デュアル制振デバイスは、制振技術の展開に大きく寄与できる技術です。高品質で安心のできる建築物を提供するため、制震柱などの実績のある制振技術とともに技術提案を行い、建築物の性能表示の時代に積極的に対応していく予定です。
戸田建設および西松建設は、このデュアル制振デバイスに続き、共同の技術研究開発をさらに推進し、実用的な効果をあげて行きたいと考えています。

 戸田建設と西松建設との業務提携の効果という観点から見ると、今回両社の専門技術者による集中的で精力的な検討作業、および両社の研究施設の相互利用によって、このような有効な技術が短期間でかつ内容の高いレベルまで到達することができました。
※1:TN-DHD
  Toda&Nsimatsu-Dual Hybrid damping Devices

TN-DHD

以上