建設作業中のCO2排出管理システムを開発
2000年2月25日
および「オペレーターの意識高揚」のために
1. はじめに
地球環境保全に対する社会的要請は年々高まっており、なかでも地球温暖化防止は早急な課題として企業においても積極的な取り組みが求められています。温室効果ガスの6割を占めるCO2の排出削減のために、アイドリング・ストップ運動を中心に種々の活動が多くの企業や団体で行われており、戸田建設(株)としても同様の活動を実施しています。地球温暖化防止活動の中心となっているアイドリング・ストップ運動は、個人の意識や努力に負うところが大きく、実施状況の管理も困難なものです。また、その効果はアイドリング時間や燃費が曖昧なものとなっており、具体的な成果がなかなか出てこず、はっきりと見えてこないのが現状です。
このような背景の中、戸田建設(株)では、上記の問題点を克服し、建設作業中のアイドリング・ストップ活動を厳密に管理し、計測に基づいた効果の定量的な把握、およびオペレーターの意識高揚を目的として「CO2排出管理システム」を開発しました。現在はCO2削減量算定に必要な基本条件を設定するための基礎データを収集中です。今のところ、アイドリング・ストップを主たる対象として実施していますが、当システムで把握可能な活動(車両整備の有無、過積載などの把握)に対象を広げ、CO2削減活動をさらに徹底していく予定です。
2. システムの概要
本システムは計測システムと管理システムから構成されています。(別紙:システム構成図)
1)計測システム
稼働する建設車両のエンジン回転数を回転センサによって計測し、時系列データを収集するとともに、累積回転数と回転数のヒストグラムを求めます。この結果と別に計量したその間の燃料消費量とを用いて、運行状況や両者の相関性、機種あるいは工種による相違等を分析します。この結果より、アイドリング回転数/作業時回転数の識別、CO2排出量の算出係数(エンジン回転数→燃料消費量→CO2排出量)等をあらかじめ設定することによって、以下の項目を算出することができます。
(1)アイドリング時間と作業時間の割合
(2)アイドリング時、作業時、それぞれの燃料消費量、CO2排出量
なお、データは1日単位でファイリングされ、取り扱いが容易な汎用ソフトで演算します。
2)管理システム
(1)建設車両のアイドリング、作業の運転状況および燃料消費状況、CO2排出状況をモニタリングします。
(2)管理値を設定し、それを外れる場合に警告を発し、オペレータに目標達成を遵守させます。(スピーカーや回転灯による警告)
なお、PHS等の通信機器を用いることによって、事務所でリアルタイムにモニタリングすることも可能です。
本システムの特徴をまとめると以下の通りです。
(1)光センサ方式による非接触型回転検出器を採用することにより、あらゆる車両、建設機械での計測が可能です。
(2)エンジン回転数の経時変化をグラフ化するとともに、アイドリング/作業時の認識表示ができます。これにより、稼働状況の判定を容易にすることが可能となります。
(3)あらかじめ登録した機種を選択することにより、アイドリングの認識、燃料消費量の算出、CO2排出量の算出を自動的に行います。
(4)アイドリング管理値を監視し、必要に応じアイドリング・ストップ警報情報を出力することで、オペレータにCO2排出抑制を促します。}
(5)車両運転中のデータが、後にデータ解析できるような形で全てファイリングできます。
(6)計測したデータを車両ごとのデータとしてデータベース化することができます。
3. 作業所への適用
今回、モデル作業所を5個所選定し、各作業所において当システムを重機・車両に6セット取り付けた後、一週間計測を行っています。1月中旬より順次計測を開始し、2月中には①~④の4現場での計測を完了する予定です。
(1)都内のシールド立坑工事
(2)埼玉県内のダム堤体工事
(3)高速道路のトンネル工事
(4)千葉県のゴルフ場造成工事
(5)都内のシールド工事
各作業所においては、本システムによるデータのモニタリング・収録以外に、データの信頼性を上げるため、以下の項目を調査中です。
(1)システム搭載車におけるアイドリング時燃
(2)計測期間中、作業所で稼働中の全車輌・重機の運転状況と燃料使用量(運転手による申告)
(3)計測期間、およびその後1ヶ月にわたる稼働車輌・重機の燃料使用量および稼働時間
5モデル作業所の内、最後の作業所ではアイドリング管理値等を設定し、システム全体のチェックを行う予定です。
作業所計測・調査・分析の途中段階ですが、当システムで得られたデータから、実稼働時間に占める不要なアイドリング時間の割合は、10~35%程度です。また、ダンプ、その他のアイドリング時の燃費は1~4リットル/時間であり、その内ダンプは1~2リットル/時間となっており、その他の重機に比べて低くなっていることが分かっています。
4. 今後の展開
・ 戸田建設全店におけるCO2排出量を算出し、今後の具体的な目標削減量を設定します。各作業所にて本システムを展開し、効果の把握を行うとともに、運転手のCO2排出抑制に対する意識の向上を図ります。
・ 現在、本システムはパソコン他周辺機器を含めて35万弱ですが、今後はポケットコンピューターを用いる等によってコストダウンを図ります。
・ 本システムの投入によって運転手のCO2抑制を高めると同時に、職員あるいは協力会社による運転手への指導あるいは運行管理を実施し、目標値達成を図ります。
・ 今後のシステムの展開で得られたデータを基にして、CO2削減活動の効果の信頼性を向上させます。
・ アイドリング以外でCO2削減効果のある活動を見極め、その活動を定着させて行きます。
・ 本システムを足がかりとして、戸田建設では地球環境への負担軽減を図るために、建設工事におけるCO2の排出量抑制に努めていくつもりです。
〔写真説明〕
全体図

