2000年11月1日
戸田建設株式会社(社長:戸田守二)と西松建設株式会社(社長:金山良治)は、昨年10月4日の業務提携発表以来、いくつかの技術開発を共同で推進してきましたが、このたび、水平建物免震と上下床免震を組み合わせた「全方位型免震システム」を開発いたしました。
大地震時に災害拠点施設となる病院や、現在急速に発展している高度情報化施設では、大地震後の機能維持は絶対的なものとなります。その可否は病院にとって人命に関わることであり、高度情報化施設においてはその後の経済・企業活動に過大な影響をもたらす問題となります。
このような施設では、一般に免震構造を採用して水平方向の地震力の低減を図り、1994年ノースリッジ地震や1995年の兵庫県南部地震では大きな効果が得られたことが報告されています。しかし一方、上下方向の地震力については、免震構造にあっても、免震部材である積層ゴムの特性から、在来構造と同様に建物へ入力され、上下方向の加速度の低減は期待できません。
このたび共同開発した、「全方位型免震システム TN-USIS 」*1は、大地震時の水平方向の加速度低減を免震構造の建物全体で図り、更に機能レベルの高いエリアを部屋単位の上下床免震によって上下加速度を低減する、全方位型の免震システムです。本システムを適用しますと、地震時の上下振動によりシステム点検の必要性や誤作動を起こす可能性がある精密機器が格納された部屋や、絶対転倒させることのできない危険物の保管棚がある部屋、あるいは非常にアンバランスな重要文化財の展示室などを上下床免震でカバーすることで、免震建物にさらなる高いレベルの安全性を付加することが可能となります。
*1:TN-USIS;Toda & Nishimatsu - Universal Seismic Isolation System
全方位型免震システム TN-USISの開発には、建物免震構造と上下床免震構造の応答シミュレーション技術が活用され、対象とする免震建物の振動特性に最適な上下床免震が設定されます。また、この上下床免震装置にはストッパー機構があり、通常時は静止状態が保たれ、人が出入りして作業することを可能にしています。
この全方位型免震システムの上下床免震装置について、実大規模の性能確認実験を、西松建設愛川衝撃振動研究所の大型3次元振動台を用いて実施しました。実験には、ある大規模免震病院を想定して、対象とする部屋がレイアウトされる床の地震時応答加速度を振動台への入力加速度とし、振動台上の上下床免震装置の応答結果から、システムおよびシミュレーション技術の妥当性を確認しました。
本開発は、戸田建設と西松建設の両社が保有するノウハウおよび保有施設の相互活用が実を結んだ結果です。今後、この全方位型免震システムTN-USIS を両社の受注活動に活用していく予定です。

全方位型免震システムTN-USIS

上下床免震装置

大型3次元振動台による、性能確認実験
