高精度切羽前方探査システムを現場に適用
2000年11月15日
戸田建設(株)(社長:戸田守二)と西松建設(株)(社長:金山良治)は、共同にて「トンネルの総合管理システム」(NT-NITS)の開発を進めているが、山岳トンネルの探査技術グループは、情報化施工システム技術として両社の相互保有技術を活用した「高精度切羽前方探査システム」の構築を目指し、長崎県対馬で戸田・中原・久保田JVが施工中の厳原トンネル(長崎県発注;トンネル延長:L=1,102m)において現場適用実験を行いシステムの有効性が確認された。
山岳トンネル工事においては、切羽前方の断層破砕帯・帯水層・地質変化などの情報を事前に高精度で得ることは、施工の安全性および効率化の上で大変重要であるが、事前調査として行われている地表踏査・弾性波探査・ボーリングなどの結果だけでは不十分であることが多く、突発的な湧水・地質急変箇所に遭遇することがある。
そこで、両社の保有探査技術であるTDEM法<資料1>(Time Domain Electro Magnetic method:地表からの電磁波による比抵抗調査。地表からの探査深度700m)、TSP法<資料2>(Tunnel Seismic Prediction:トンネル坑内からの地震波による切羽前方100m~150mの探査)、穿孔探査法<資料3>(DRISS;Drilling Survey System:穿孔用ジャンボのドリフターを利用したトンネル切羽から30m~50mのさぐり削孔)の3技術について、地山状況に応じた特性や精度を検証し、有効な技術の組合せを探るとともに、各探査法によって得られる異なった物性値(比抵抗値、弾性波反射面、穿孔油圧データ)の総合的検討により、高精度な探査システムの構築を図るべく研究を行っている。
厳原トンネルにおいては、事前調査の弾性波探査屈折法で示されたVp=5.7km/sを示す極硬質であるホルンフェルス岩盤中に分布する熱水変質帯の位置・規模をさらに高精度で探査するため、まずトンネル掘削前に地表からTDEM法による比抵抗調査を実施した。
TDEM法で推定された地質急変箇所について穿孔探査を実施することにより、切羽前方の地質性状をより正確に把握でき、水抜き効果も得ることができた。
また、本トンネルで最も大きな変質部と推定される箇所箇所に対しては、TDEM法、穿孔探査法の他にもTSP探査を実施した。その結果、三つの探査法から得られるそれぞれの探査情報には、高い相関性が得られることが確認でき、地表からの弾性波探査屈折法よりも確実に精度良く熱水変質帯の位置が探査できることが実証された。
今回の現場検証により、硬岩中の熱水変質部を対象とした各探査法の適用性の把握と、相互比較を行うことができ、高精度切羽前方探査システムの有効性が確認された。
今後両社は、各種の地質条件や施工条件を対象に、各探査法の有効な組合せについて検証を進め、地山情報をより高精度でかつ効率的に得られるシステムの完成を目指す。

