2000年12月12日

キャナルワーフタワーズ新築工事

 戸田建設(株)(社長:戸田守ニ)は、東京都江東区豊洲で11月竣工した36階建て(延床面積:72,791㎡)ツインタワーマンション「キャナルワーフタワーズ」〔発注者:東急不動産(株)・新日本製鐵(株)〕新築工事において、初のゼロエミッション建築を達成した。

 ゼロエミッションという考え方は、1994年に国連大学のグンター・パウリ氏を中心としたグループが提唱した「ゼロエミッション研究構想」の中で示されたもので、「ある産業で排出される廃棄物を別の産業でリサイクルし、社会全体で廃棄物をゼロにする」という考え方だが、キャナルワーフタワーズ新築工事では、1998年6月の着工以来、ゼロエミッションを目標に掲げ、実現に向けて取り組んできた。去る2000年2月、この取り組みが軌道に乗り、達成できる見込みとなったことから、同社では当工事でゼロエミッションを達成することを宣言し、その後実現したものである。

■ ゼロエミッションへの具体策
 (1)発生抑制
  ・ 徹底した工業化…PC(プレキャストコンクリート)化、材料のユニット化により
  現場加工を削減し、端材発生量を削減。
  ・ 梱包材の削減…協力会社に資材の簡易梱包や通い箱の利用を指導。
 (2) リサイクル施設の確保および開拓
  ・ 一般的なリサイクル施設の活用…ダンボール、金属くず、コンクリート片など。
  ・ 不足しがちなリサイクル施設の安定確保…廃木材。
  ・ 新たなリサイクルルートの開拓…廃プラスチック類、ホコリなど。
  (3)分別集積および搬出
  ・ 分別品目の設定…各リサイクル施設の受け入れ条件に合わせ、15品目に分別集積。
  ・ 分別ルールの徹底…数百人におよぶ作業員、職員一人一人に分別ルールを徹底。
  ・ 分別ヤードのチェック…週に2回、全員参加で分別ヤードをチェック、異物の除去など再分別の実施

■ ゼロエミッション達成に至るプロセス
  ゼロエミッション達成までの道のりは、決して平坦なものではなく、達成のために解決してきた課題には次のようなものがある。
 (1) 廃木材のリサイクル施設の確保
  廃木材のリサイクル施設は全国的に不足している。そこで同社は以前から廃木材のリサイクルを委託してきたパーティクルボードメーカー〔東京ボード工業(株)〕と「木質資源リサイクル推進協定」を締結し、東京ボード工業が製造するパーティクルボードを床工事の部材として積極的に使用したり、パーティクルボードの建材としての利用用途を共同開発したりすることにより、同社が排出する廃木材が優先的かつ安定的にリサイクルされる環境を確保した。
 (2) 廃プラスチック類のリサイクルルートの開拓
   廃プラスチック類は、産業廃棄物、一般廃棄物を問わず、全国的にリサイクル率がまだまだ低い品目である。さらに、建設系の廃プラスチック類は多種多様であるため、〔日本鋼管(株)京浜製鉄所〕の高炉原料化リサイクルシステムなどの受け入れスペックに合わせた分別が困難だった。そこで〔(株)キタジマ〕の鶴見中間処理施設の一角に、同社専用リサイクルピットを設置し、そこで各リサイクル施設の受け入れ条件に合わせるためのスペック調整を委託することで、廃プラスチック類のリサイクルを可能とした。
 (3) リサイクルの新技術の登場
   キャナルワーフタワーズ新築工事のような大規模工事では、一斉清掃時にチリトリで集めたホコリのようなゴミだけでも相当な量になる。このようなゴミは既存の技術ではリサイクルすることが不可能である。しかし、近年のリサイクル技術の進歩は急速であるため、2年以上の長期間にわたる工事期間中に、何らかの新しいリサイクル技術が開発されるのではないかと考え、この工事ではリサイクルできないすべてのゴミを現場の一角に保管していた。この読みが的中し、2000年5月には〔川崎製鉄(株)千葉製鉄所〕内の「ガス化溶融炉」が本格的な受け入れを開始し、これを利用することで、すべての建設廃棄物がリサイクルできるようになった。

■ ゼロエミッション達成後の課題
 キャナルワーフタワーズ新築工事では、ゼロエミッションを達成したからといって、同社の建設廃棄物対策が完結したわけではない。この経験を生かし、同社ではすべての工事をゼロエミッションに近づけていく努力を続けることはもちろん、他には次のようなことを課題としている。
 (1) リサイクルのレベル向上
   一言でリサイクルといっても、リサイクルにはレベルがある。一番レベルが高く、安定的なリサイクルは資源循環型リサイクルであり、世の中すべての廃棄物がそのようになればゴミ問題は解決する。しかし、代替燃料としてのリサイクル(サーマルリサイクル)や、ガス化溶融炉によるリサイクルは、資源循環がされていないため、廃プラスチック類などは可能な限り資源循環型リサイクルにシフトしていく必要がある。同社では、塩ビ工業会などと共同で、廃プラスチック類の資源循環型リサイクルの研究を始めている。
 (2) 溶融スラグの利用、新利用用途開発
   ガス化溶融炉では、溶融スラグが作り出されるが、その他公共の清掃工場においても焼却灰のリサイクル技術として、溶融スラグ化処理は注目を浴びているため、ゼロエミッション社会構築に向けて、当面溶融スラグの製造量は飛躍的に増加していくことは確実であると思われる。したがって、溶融スラグの積極的利用、および新利用用途の開発は非常に重要な課題である。同社では、埋戻材、路盤材として砕石代わりに利用することはもちろん、新利用用途の開発を進めている。なお、同社では既に溶融スラグを利用した地盤改良工法(ASLP工法)を開発し、保有している。平成9年12月、「江戸川区総合区民ホール新築工事」にて採用した実績があり、この工法は、大量の溶融スラグを消費するため、溶融スラグの市場を活性化させる切り札にもなるものと思われる。

■ キャナルワーフタワーズにおける実績(建設汚泥および地中障害物を除く)
  同社の過去実績から予測して、当工事の廃棄物発生総量は約2,900t(延床面積1㎡当たり40Kgで算出)であり、4tダンプで1,990台分になる。(4tダンプ1台当たりの積み込み廃棄物の容積は6?、重量は1.46tで算出)
  ゼロエミッション達成の実績は次の通り
 (1) 発生材の抑制量
  ・ 工業化・梱包材の簡易化・コンクリート片による現場内利用などにより、 約1,620t(発生総量2,900tの56%)を削減した。
 (2) 廃棄物のリサイクル総量
  ・当工事から搬出した廃棄物のリサイクル総量(リサイクル率100%)は、約1,280tとなった。
 (3) リサイクル量の内訳は以下の通り
  1) 資源循環型リサイクル:約1,160t
   木くず、ダンボール、金属くず、石膏ボードなど
  2) 他製品の原料としてのマテリアルリサイクル:約50t
   廃プラスチック類
  3) サーマルリサイクル:約70t
   廃プラスチック類、ホコリなど

以上