2001年3月15日

 戸田建設(株)(社長:戸田守ニ)は、(社)建設機械化協会より「連続地中壁溝壁計測システム」の技術審査証明を取得した。

 このシステムは、従来溝壁の鉛直度と壁面形状のチェックのために行っていた超音波による溝壁測定作業を、コンピュータ化により省力化したものである。戸田建設ではこのシステムを東京都発注の妙正寺立坑連壁工事に導入し、連壁掘削時間の大幅な短縮を実現させた。

 連続地中壁工法は、シールドの発進立坑や地下居住空間など、地下構造物を築く手段として多くの工事で採用され発展を遂げてきた技術だが、最近では競合する様々な工法が開発され、低コスト化へ向けた努力が求められている。地中連続壁工法には技術の成熟度、実績、専門技術者のレベルなど、他工法より優れた面が多く、コスト減を実現させれば品質の高い地下構造物をつくる手段として多くの需要が見込める。

 連壁工事では、高価な掘削機や泥水処理プラントなどの設備費用が大きなウエイトを占めている。コストを抑えるためには、これら設備の使用期間をできるだけ短いものとすることが必要で、そのための方策として掘削機の改良や、掘削精度管理システムの開発など、積極的な技術開発が進められてきた。これにより掘削能力は一段とアップしたが、溝壁精度や溝壁の崩落などを確認するために行う超音波溝壁測定方法が改善されておらず、掘削機を地上に上げ、泥水安定液が落ち着くのを待って、超音波センサを自由降下させるといった時間の掛かる方法がまだ採用されている。そのため、せっかくの掘削能力アップも掘削サイクルの短縮に十分結びついていないのが現状である。特に多くの溝壁測定をしなければならない50m以上の大深度になると、掘削機の昇降に掛かる時間や、センサが流されないよう泥水安定液が落ち着くまで待たなければならない時間が長くなり、掘削サイクルを短縮することは容易ではない。溝壁測定を入念に行うことは、高い鉛直精度を確保できる代わりに掘削サイクルの長時間化を招くからである。

 妙正寺立坑連壁工事は、内径φ32m、壁厚1.2m、壁長100mの大規模地中壁を構築するものである。発注者である東京都からは騒音・振動など環境への配慮と相まって工期短縮実現の依頼が寄せられ、これに応えるため戸田建設では掘削精度管理システムを導入するとともに、本システムの開発を行うことにした。

本システムの特徴は次のような点である。

1 ワイヤ式基準位置測定装置の鉛直ワイヤをガイドにするため、超音波センサは溝内中を流されることなく常に水平座標を維持しながら昇降する。これにより、 計測時間の短縮化、信頼あるデータの取得が可能となる。
2 従来のように溝壁測定器を溝壁を跨いで置くのではなく、溝壁脇に置いて使用するため、掘削機を地上に上げずに溝壁底部に置いた状態で計測できる。これにより、溝壁計測の準備に要する時間が大幅に短縮される。
3 超音波センサの入出力窓に導波筒を取り付けることにより、電源ケーブルなど、センサの近傍にある物体による反射波を除去する。これにより、水中にいろいろな ものがある狭い場所でも、他の物体による影響を受けず、狙った箇所のデータを 正確に捉えることができる。
4 市販の溝壁測定器を使用しているため、ワイヤ式基準位置測定装置を併用しない従来の計測スタイルにおいても、パソコンを接続して溝壁形状を デジタルデータとして取り込むことができる。
これにより、全ての超音波側壁計測で計測のデジタル化、データ処理の簡便化、 書類等作成の簡便化が実現される。
5 掘削精度管理システムとLAN接続されており、双方のデータの共有化が図られている。
これにより、掘削機の軌跡と溝壁形状を比べるといった両者のデータ比較ができ、 掘削精度管理システムの性能などの検証が可能となる。

本システムを使用した結果、以下のような効果が得られた。

1 掘削機の上げ下ろし作業が不要となった
システム導入前は、掘削機を地上に巻き上げる(下ろす)のに、
掘削深度にもよるが、1回当たり0.5から1時間程度掛かった。
2 超音波センサが流されずに正確な測定ができた。
従来の方法によると、掘削中断後、最低2から3時間程度は待たないと
泥水安定液が落ち着かず、測定ができない状態であった。
3 データ処理、実数値の把握が容易となった。
通常はデータが放電記録計にグラフ処理されるのみである。
従って数値の読み取りは得られたグラフにスケールを当てて
行わなければならず、非常に手間のかかる作業であっ
た。
4 掘削の合間に計測することができた。
掘削を途中で中断して溝壁測定作業に時間を割いていたが、昼休みなどの
掘削の合間に計測作業ができるようになり、掘削のサイクルタイムの低減に
つながった。
本システムを採用することにより、1エレメントあたり約10時間(12%)の
掘削サイクルタイム短縮が実現できた。

今後は、連壁工事はもちろんのこと、場所打ち杭など、超音波溝壁測定器による施工管理を行っている工事に適用していく予定でいる。

以上