2001年4月9日

 戸田建設(株)(社長:戸田守ニ)では、環境配慮型の地下工事合理化工法「戸田式合成地下壁工法(TO-SCW工法: TODA Steel-reinforced concrete Composite Wall system)」を東京都港区高輪に建設中の(仮称)エバーグリーンジャパン新社屋新築工事において適用した。

 本工法は、建設工事における環境への負荷を減らすために開発された工法で、従来は本設の構造部材としては用いられていなかった山留め壁(ソイルセメント柱列壁など)の芯鉄骨(H型鋼)を、鉄筋コンクリート造の地下外壁と構造的に一体化させて合成壁構造として利用することで、H型鋼を有効活用するとともに、地下部分のコンクリート量、鉄筋量を減らすことができる。

 今回この工法を適用した建物の建設地は、高層住宅や事務所ビルの密集した地域にあり、前面道路下には地下鉄も通っていることから、地下工事に際しての近隣への影響を最小限に押えるための山留め壁として、剛性が高く遮水性、施工性に優れたソイルセメント柱列壁工法を採用している。

 このタイプの山留め壁には掘削工事中の土圧・水圧に抵抗するための応力負担材(芯鉄骨)としてH型鋼が埋設されている。従来の工法ではこの芯鉄骨(H型鋼)は、仮設構造である山留め壁として用いられた後は、そのまま埋め殺され、地下部分の完成後に加わる土圧・水圧には鉄筋コンクリート造の地下外壁のみで抵抗するようになっていたが、H型鋼を完成後も本設の構造部材として利用できれば、地下構造物の合理化につながる。

 そこで同社では平成10年度より2年間にわたり、山留め壁に用いる芯鉄骨の有効利用を目指し、H型鋼と鉄筋コンクリート造の壁を一体化するための接合方法に関して各種の構造実験を行い、構造的に一体な合成壁とすることができることを確認、設計のためのデータを取得した。同時にこれらのH型鋼が地中に埋設されることから懸念される長期耐久性についても、現場調査により問題のないことを確認した。これらの実験、調査結果を受けて、戸田式合成地下壁工法(TO-SCW工法)設計・施工指針を作成し、今回の適用に至った。

 構造的に一体の合成壁とするためには、H型鋼側にシアコネクタを設置してH型鋼と鉄筋コンクリート造の壁をつなぐ方法が用いられるが、このような構造ではシアコネクタとしては頭付きスタッドボルトが使われることが多い。本工法では、シアコネクタ設置に関して以下の2つの特徴を有する。

1 常時の土圧・水圧を受ける地下外壁に適合した構造性能の確保という観点から、
必要シアコネクタ量に関する構造実験を実施し、同様な構造形式である合成ばりと比べ、 シアコネクタ量を少なくすることができることを確認した。
2 山留め壁が地下外壁構築時に外壁枠として用いられることに着目し、施工の合理化のためシアコネクタがセパレータ受け金物と兼ねられるよう、形鋼やねじ穴付きスタッドをシアコネクタとして用いた場合の構造性能に関する実験を行い、これらの使用時の設計方法を確立した。

 今回の工事では、TO-SCW工法を適用することで、地下外壁の壁圧厚は45cmから25cmへと薄くすることができた。その結果、合成壁とするためのシアコネクタの増加に比べて、合成壁としたことによる鉄筋コンクリート量および鉄筋量は大幅に減少した。また、スタッドボルトの打設・施工方法は標準化されており、工程にはほとんど影響を及ぼさなかった。

 以上、本工法の適用により資源の有効利用による環境負荷の低減とコストダウンが図れ、同時に地下外壁厚が薄くなることで、都市における限られた敷地をより広く使うことができるようになった。

 今回の適用では、地下空間を広く使えるという効果が得られたが、逆に内部空間の大きさが決まっている構造物、たとえば立坑や開削トンネルといった土木構造物では、掘削量を減らすことができるという効果も見込める。今後は、適用物件、適用対象を増やし実績を重ねることで、より合理的な使用方法の追求、改善を図っていく予定。

以上