2001年8月7日

 戸田建設(株)(社長:戸田守二)と西松建設株(社長:金山良治)は、共同で油汚染土壌の浄化技術開発を進めてきたが、実験においてその効果を確認した。

 この技術は、紫外線による分解処理技術とバイオレメディエーション(バイオ)技術の2段階で油汚染土壌を浄化する「ハイブリッド型浄化システム」である。汚染土壌処理に紫外線を用いるのは、実用化技術としては初めての試みである。

 昨今、環境問題に対する意識の高まりや相次ぐ有害汚染物質の検出、法規制の強化、ISO14000s認証取得企業の増加などに伴い、汚染土壌の浄化・無害化対策技術が大きなニーズとしてクローズアップされてきている。汚染原因物質は、重金属類や揮発性有機化合物(VOC)、油類、ダイオキシンなど多種多様で、浄化技術もそれらに応じて種々開発されてきている。これらの浄化技術は、水処理業者やプラントメーカー、ゼネコンなどが開発したもの、あるいは海外から技術導入したものなど、様々な実用化技術が存在するが、油汚染土壌を対象とした浄化技術に関してはまだ少ない。これは現在のところ国内では油汚染に関する規制値(ベンゼンのみ)がないことなどによると考えられる。しかし、油汚染に対する法規制化の動きや、石油業界の統合整理や施設の統廃合の進展により、油汚染土壌浄化技術に対するニーズは今後大きく高まると予想される。このような背景に対して、油汚染土壌浄化にターゲットをあて、両社は平成11年10月から技術開発に着手した。

 バイオレメディエーションによる油汚染土壌の処理は、自然の物質循環を利用した安全で低コストの環境調和型浄化工法である。しかし、これまでの実験において、実際に長期間自然環境中に放置された油汚染土壌の油成分には、複雑な構造のもの(難分解性成分)が多く残存していることを確認し、またその油汚染土壌をバイオ技術により浄化することが困難であることが分かった。その結果、バイオ技術単独による実際の油汚染土壌の浄化は、長期間を要すると予想された。そこで、紫外線の物理化学的な分解作用を利用し、紫外線照射処理とバイオ処理を組み合わせることで、互いの特長を活かした効率的な浄化技術の開発に取り組んだ。

 処理工程としては、第1段階として紫外線照射処理により、油汚染土壌中の油分濃度を分解減少させるとともに、油汚染土壌に含まれる難分解性成分を微生物が分解しやすい構造に短時間で分解し、続く第2段階としてバイオ処理によって最終的に油成分を水と炭酸ガスにまで分解させる。

 紫外線分解処理は、紫外線ランプにより300nm(※注1)以下の極めて短い波長のエネルギーにより油成分を効率的に分解させている。紫外線は、波長が短いほどエネルギーが高くなり、100~400nmの紫外線では286~72Kcal/mol(※注2)
を有している。これに対して、分子の結合エネルギーはその多くは約50~150Kcal/molである。例えば、炭素-炭素結合で83Kcal/molである。このため、分子の結合に紫外線が吸収されると、結合の切断を伴う光化学反応を起し、結合した分子が分解されてしまう。紫外線分解処理は、このメカニズムを利用したものである。実験において、油成分中の難分解性成分が易分解性成分へ変化すること、触媒の添加により紫外線の分解効力を促進できることも確認した。

 現時点において、実験結果より次の効果を確認している。
  紫外線照射処理の効果

  • 500W出力紫外線照射  :1時間照射で油分分解率は30%であった
  • 500W出力紫外線照射  :3時間照射で油分分解率は63%であった

 このハイブリッド浄化システムの利点は、前処理として紫外線照射処理を行うことにより、従来のバイオ処理では対応困難であった高濃度油汚染土壌や難分解性成分残存汚染土壌などにも低コストかつ迅速に対応できる点である。また、現地にて浄化対策工事を実施することができる点も特長となる。さらには、紫外線照射処理過程において、有害成分などの副産物の発生がなく、オフガス処理も不要であり、最終的なバイオ処理土壌は再利用できるゼロエミッションを達成でき、循環型社会構築といった社会的目標に大きく貢献できる浄化システムである。

 研究開発において、目標とする工事費と工期であるが、工事費については油汚染土壌対策として、現在主流となっている場外搬出/焼却処理の半分以下の処理コストを想定し、工期については紫外線照射処理に約1時間、バイオ処理に数ヶ月から半年を設定している。
今後は、大量の土量処理ができるプラントの開発を進め、早期の実用化を目指している。

※注1  nm :ナノメートル、1nm=1×10 m
※注2  mol :モル、6.02×10 個の粒子の集団

以上