2001年8月28日

―女子美術大学相模原キャンパス10号館・11号館新築工事―

 戸田建設(株)(社長:戸田守ニ)は、コンクリート躯体から発生する美術品に有害な影響を与えるアルカリ性物質(アンモニア、カルシウム、アミン類など)を早期に放散させた後、除去するアルカリ汚染対策工法を研究開発し、神奈川県相模原市の女子美術大学相模原キャンパス10号館1階部分にある美術資料の展示室と収蔵庫に採用し、躯体コンクリート完了から建物使用開始まで約8ヶ月間というこれまでにない短工期を実現した。

 従来、新設の美術館・博物館などでは、保存展示環境として絵画や美術工芸品の変質・劣化を防止するため、最適な空気環境を構築することが定められており、通常1~2年間の「枯らし期間」を設け、館内を機械的な換気・除湿を行い、コンクリートや内装材から発生する水分・アルカリ物質・酸性物質を除去し、室内の空気環境を清浄化してから美術品などを搬入し保存・展示を行っている。

 この工法は、在来の工法に比べて簡便かつ安価で、これまでにない短工期でより効果をあげられるところに特徴がある。

 今回の施工では、大容量を占めるコンクリート面を所定の期間(14日間)散水することにより、多量のアルカリ性物質を溶出・放散させた後、換気・除湿運転(3ヶ月)によりアルカリ性物質を短期間に多量に除去する独自の対策を行なった。水温、水量、湿度などの調整に独特のノウハウが必要となり、特許取得済みである。

 散水後は、無対策なものに比べて水和硬化が促進され、コンクリートの内部毛細空隙(細孔径)が材齢に伴い徐々に小さくなるため、アルカリ性物質の放散量が抑制される。その結果、躯体完成時から6ヶ月間の短期間でコンクリートから発生したアンモニア濃度は、無対策部分に対して1/3となり、評価基準値・推奨濃度(独立行政法人 東京文化財研究所)30ppd以下をクリアーした。本工法は、公立公文書館、都下の公立美術館などで実施し効果を確認している。

 この施設は、創立100年を迎えた同学が新しく「メディアアート学科」「ファッション造形学科」「立体アート学科」の3つを開設するにあたって計画された建物であり、平成2年4月に開校した同キャンパス内で建設が進められている。

 同社は、今回の短工期での質の高い空気環境を構築する技術など、総合的な提案力で 美術館・博物館などの文化財施設の品質向上を図りたいとしている

工事概要

工事名称 女子美術大学相模原キャンパス10号館・11号館新築工事
工事場所 神奈川県相模原市麻溝台1900番地
建築主 学校法人 女子美術大学
設計監理 株式会社 日建設計
施工 戸田建設株式会社
工期  2000年8月~2001年8月
建物用途 学校
敷地面積 102,334.86㎡(全体)
建築面積 10号館 2,244.97㎡ 11号館 764.00㎡
延床面積 10号館 7,379.89㎡ 11号館 656.66㎡

アルカリ成分除去状況

以上