2001年10月9日
戸田建設(株)(社長:戸田守二)は、福岡県福岡市で施工中の(仮称)大村ファッションカレッジ新築工事において、特殊形状プレストレストPC構造体の仮設接合金物を考案し、分割建て逃げ工法を採用した。
本建物は、小規模ながらも斬新かつ意欲的な意匠設計のもとに計画されたデザイン性の高い物件で、そのデザインは透明性を強調しており、外部からは半透明な箱の中に柱・梁・床といった構造体が透けて見える、いわゆるスケルトン的なコンセプトを基調とし、また、内部においては端正なプロポーションに抑えられた構造体をデザインとして見せるものとなっている。そして、このような外部意匠および内部空間を実現させるために、主要な外装はガラスカーテンウォールで構成され、構造体は柱・梁型を細い板のように見せるプレストレストPCとなっている。
本建物のようなプレストレストPC構造では、通常は下階から順番に1フロアーずつ全平面にわたりプレストレスト導入(緊張作業)が必要であり、定置式タワークレーンを設置し、PC構造体によって建て方および緊張作業は、各階ごとの行う平積み施工が一般的に採用されている。しかし、この施工方法での定置式タワークレーンの能力は100tmクラスが必要で、狭小な敷地の場合は、施工建物と仮設物であるクレーンの大きさがアンバランスとなる。また、定置式タワークレーンの組立解体作業自体が困難となる。さらに、クレーンの組立解体工程が長く必要で全体工期が延びてしまう。
そこで本工事においては、ある階のプレストレスト導入が完了する前に次階のPC建て方を可能にするため、PC構造体を仮接合する仮設接合金物を考案し、PC構造体を移動式クレーン(25tm)で建て逃げ工法にて施工している。このことにより、市街地で敷地が狭小な物件においても、同種建物が施工可能となり、同時に安全性の向上が図られる。また、定置式クレーンの組立解体工程が不要となるため、約15%の工期短縮が可能となる。
仮設接合金物は、梁1本当たり片側2本、両側で計4本のアングル(L65×65×6)からなり、PC部材へ打ち込んだインサートにM16(F10T)ボルトにて取り付ける。仮接合状態での構造体の地震時および台風時の自立安全性については構造解析を行って確認し、その解析結果に従い、金物は約7tのせん断力に対して耐える構造としている。
PC構造体の構築工法はいわゆるPC圧着工法で、工場で製作したプレストレストコンクリートの、プレキャスト部材を現場にてPC鋼棒・PC鋼線の緊張により接合する工法で、本建物においては柱・桁行方向梁・および外周梁が2枚の板状の形(H型)で構成されている。このH型梁はスパン中央で接合され、梁内部に設置されるPC鋼線の緊張(プレストレス)により一体化される。外周大梁および小梁がPC鋼棒・PC鋼線に導入されるプレストレスにより一体化される。
建て逃げ工法は先行工区、後工区の二工区に分割し、まず、先行工区のPCを地下から最上階まで、工事用車両乗入構台の上に設置する移動式クレーンによって建て方を行う。各階ごとに柱・梁・床板架設および緊張作業終了後、床トッピングコンクリートを打設し、次階の工程に移る。この先行工区施工段階において、柱は各階ごとに緊張作業を行えるが、H型梁は仮設接合金物による接合状態となる。
次に工事用車両乗入構台の一部を解体後、後工区のPC建て方・緊張作業・先行工区で仮設接合状態になっている梁の緊張作業、および各階床のトッピングコンクリートの打設を先行工区同様に行う。この時点においてはクレーンが道路配置となるため、誘導員配置・吊り込み作業における安全指示徹底など万全の配慮を施す。この後工区施工完了をもってプレストレストPC構造体の構築が完了する。
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PC(プレキャストコンクリート):建物を構成する柱・梁・床などを工場で製作したものの総称 プレストレスト:設計荷重による応力の全部または一部を打ち消すようにあらかじめ計画的に与えられるコンクリートの応力 平積み:構造体を各階ごとに全平面にわたって施工し、その階の構造体の構築完了後に次階の施工に移る方式で、定置式クレーンによるのが普通である。積み上げ方式ともいう 建て逃げ:構造体の一部のスパンを最上階まで一気に、または階段形に組み上げ、後退移動しながら建て方を進めていく方式で、移動式クレーンによるのが普通である |
工事概要
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工事名 |
:(仮称)大村ファッションカレッジ新築工事 |
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工事場所 |
:福岡県福岡市中央区黒門4丁目77-2 |
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施主 |
:(学)大村文化学園 理事長 大村 統 |
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施工 |
:戸田建設株式会社 |
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設計監理 |
:株式会社 高松伸建築設計事務所 |
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主要用途 |
:専修学校 |
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規模 |
:地上3階 地下1階 |
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建築面積 |
:266.15㎡ |
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延床面積 |
:945.31㎡ |
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構造 |
:主体構造:RC造+WRC造+PC造 |
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基礎 |
:直接基礎 |
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外装 |
:プロフィリットガラスカーテンウォール コンクリート化粧打放 |
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工期 |
:平成13年3月15日~平成14年2月28日 |

1階PC施工状況
