2001年12月6日

 戸田建設(株)(社長:戸田守二)と西松建設(株)(社長:金山良治)は、業務提携発表以来共同で技術開発を推進してきたが、今回超高層RC造住宅を対象とした「デュアル制振デバイス」を開発した。

 阪神・淡路大震災以来、大地震を対象とした様々な制振技術が開発され、最近では低降伏点鋼やオイルダンパーなどが超高層建築物に採用されているが、制振デバイスが採用されている超高層建築物の多くは鉄骨造であり、RC造の超高層建築物への利用はまだ進展していない。これは、RC造骨組には地震時にひび割れによる剛性変化が生じるため、制振デバイスの評価が難しいからであり、さらに超高層RC造は、その用途が主として住宅のため、住戸計画上の制約から制振デバイスの設置場所が制限されることも制振デバイスの利用を妨げる要因となっている。

 まず、RC造骨組に対する制振デバイスの効果を実証し、次に、少ない設置数で制振効果を上げることが、制振技術の超高層RC造住宅への普及の鍵となる。

 両社は、対象外乱・制振特性の異なる2種類の制振デバイスを組み込んだ複合制振デバイス「デュアル制振デバイス TN-DHD*」(特許出願中)を共同で開発してきており、昨年2月には、戸田建設技術研究所において、デュアル制振デバイスの基本的な複合タイプについて、動的載荷実験を実施してエネルギー吸収性能などの複合特性およびシミュレーション・モデルの確認を行った。
*:TN-DHD;Toda&Nishimatsu-Dual Hybrid damping Devices 

デュアル制振デバイスには、履歴系デバイスと粘性系デバイスを用いており、履歴系デバイスは、大地震を対象とした低コストの低降伏点鋼パネルで、粘性系デバイスは強風・地震を対象としたオイルダンパー、または粘弾性ダンパーを用いている。

 特性の異なる制振デバイスを複合することで、日常の強風から大地震まで幅広い外乱による揺れを効果的に低減することができ、特性の同じ制振デバイスを建築物内に数多く設置する場合に比べて、同等以上の制振効果をより少ない設置数で得ることができる。

 コストの高い制振デバイスと低コストの制振デバイスを複合することで、制振デバイスのコストを低減することができた。高層建築物のシミュレーション結果では、デュアル制振デバイスは単独の制振デバイスを用いる場合に比べて、デバイスのコストを30%以上低減できた。

 昨年実施した基本特性実験の成果に基づき、RC造に適した制振デバイスについて検討を重ね、独自の超高層RC造住宅専用の「デュアル制振デバイス」を開発した。

 今回、戸田建設技術研究所において、RC造骨組に対する制振効果を実証するため、単独の制振デバイスおよびデュアル制振デバイスを設置したRC造骨組の構造実験を行った。単独の制振デバイスおよびデュアル制振デバイスは、RC造専用に開発した独自の制振技術(特許出願中)である。

 低降伏点鋼を用いた制振柱(特許工法)は、現在着工中の54階建住宅をはじめ、超高層RC造住宅3棟に採用されており、竣工した2棟を含め、既に5棟の超高層RC造住宅への採用実績がある。また、今回開発したデュアル制振デバイスは、現在計画中の超高層RC造住宅3棟において採用を検討している。

 デュアル制振デバイスは、制振技術の展開に大きく寄与する技術であり、高品質で安心できる建築物を提供するため、制振柱など実績のある制振技術とともに技術提案を行い、建築物の性能表示の時代に積極的に対応してゆく予定。

デュアル制振デバイス

以上