2002年3月20日

 戸田建設(株)(社長:戸田守ニ)は、超高層住宅の新しい構造「Super HRCシステム」を開発し、日本最大級(※)の54階建・45階建のツインタワー超高層住宅で実現した。

 最近、超高層住宅の建設件数が増加しているが、その半数以上がRC造となっている。RC造による超高層建築物は、鉄骨造に比べて風揺れが小さいなど居住性や経済性に優れており、住宅には適した構造である。しかし、従来のRC造ラーメン構造では、柱間のスパンが小さくなるため、住戸計画が制約されることや、柱梁断面が大きすぎることなどが指摘されてきた。また、現場打ちRC造は、鉄骨系工法に比べて現場作業量が多いため、躯体工期が長くなり、30階以上の超高層住宅では建設工期が課題とされてきた。

 それらを踏まえ、居住性や経済性などRC造の長所を生かしながら、住戸計画の自由度を増し、さらに工期短縮を実現する超高層住宅の新しい構造システム「Super HRCシステム」を開発した(特許出願中)。「Super HRCシステム」は、21世紀の住まいとして、フレキシブルな住まい、安心できる住まい、長寿命の住まいを実現する「高性能RC造高層住宅システム」である。

 本システムは、東京都東雲地区に建設中である、わが国最大級(※)の54階建・45階建の超高層住宅「Wコンフォートタワーズ」(事業主:三菱地所(株)・三菱商事(株)・菱進都市開発(株)、図1)に採用された。このシステムは、多くの実績に基づく信頼性の高い技術と最先端技術を統合した構造システムである。「Wコンフォートタワーズ」では、「地中連続壁工法」、「超強度RC工法」、「プレキャスト複合化工法」、「制震柱工法」を中核として構工法システムを構築している。
(※:2002年1月現在、タワーマンションで1,149戸の規模は日本最大級)

「Super HRCシステム」の概要
 中ボイド形式住宅の一例として、基準階の平面図を図2に、住戸ゾーンの略断面図を図3に、ウォーターフロントに計画された骨組の概観イメージを図4に示す。

(1)フレキシブルな住まい
住空間の自由度を高めるため、骨組形式は3タイプの異なる性格を持たせたフレームから構成されている。中央の吹き抜け部を取り囲む骨組は、部材断面を増大するとともに、柱間を設置して、構造体全体の芯となるセンター・フレームを形成している。センター・フレームのまわりには、無柱・無梁の住戸ゾーンを支持するアウター・フレームを配置している。アウター・フレームでは、居室の眺望を良くするため、外周には梁せいの小さなワイドビームを用いている。また、平面の四隅には、形態が自由なサブ・フレームを設けて、一段と眺望性の優れた居室が可能となる。剛なセンター・フレームのまわりに、開放的なアウター・フレームやサブ・フレームを束ねるように配置しており、この骨組形式を「バンドル・フレーム」と呼んでいる。
設備の更新性や可変性に配慮した床下配管スペースや居室内のバリアフリー化のため、床スラブには段差を設けている。さらに、戸境方面の梁を無くすとともに遮音性能を高めるため、床スラブにはプレストレスを導入した「段差付き大型スラブ」を用いている。

(2)安心できる住まい
耐震安全性を向上させるため、柱や梁には高強度材料を用いるとともに、1階の柱は、帯筋と鋼管で拘束した「鋼管RC柱」としている。さらに、センター・フレームに配置した間柱には、地震時にエネルギー吸収能力が高い制震デバイスをRC柱の中間に取り付けた「制震柱」を採用している。
ウォーターフロントなどの埋立地盤では、超高層建築物を支える基礎の耐震安全性の確保は最も重要なことである。軟弱な埋立地盤に最適な基礎は、「地下連続壁工法」による壁杭である。外周部の壁杭と壁杭の間を鋼製継手で接合することにより、通常の杭に比べて、水平剛性と強度が極めて高いボックス型連続杭としている。

(3)長寿命の住まい
住宅に長く住むことができるように、構造体のコンクリートには「高強度コンクリート」を用いて、耐久性を向上させている。また、品質の向上のため、主要な構造部材には「プレキャストコンクリート部材」を採用している。

(4)住まいの経済性・建設工期
居住性や安全性に優れた住まいを経済的に実現するため「高強度RC造工法」を採用している。本システムの構造コストは、鉄骨系コストに比べて、20~30%程度の低減が可能である。 RC造の構造体を短工期で建設するため、構造体の構築には、プレキャスト部材と現場打ちRC部材を使い分ける「プレキャスト複合化工法」を採用している。現場作業量や揚重工程に配慮した工区分けにより、基準サイクル工程は、1フロア当たり4日間が可能であり、鉄骨系工法とほぼ同等の工期が実現できる。

 21世紀の住まいとして、フリープラン超高層住宅への期待は高まっており、このニーズに応えることのできる構造システムとして「Super HRCシステム」が実現化された。

 今後は、より自由度の大きい高品質の超高層住宅を提供できるように、制振・免震など最先端技術の開発による本システムの充実を目指して行く。

以上