2002年6月21日
戸田建設(株)(社長:戸田守ニ)は、海岸・沿岸域のコンクリート構造物の緑化技術開発を進めてきたが、実験においてその効果を確認した。
この技術は、同社が保有するコンクリートを緑化する技術であるベジクリートと、耐塩性植物を用いて海岸・沿岸域のコンクリート構造物を緑化する技術である。ベジクリートのような植生コンクリートを海岸・沿岸域のコンクリート構造物に用いるのは初めての試みである。
近年、河川護岸構造物においては、植物や生物が生息することができる植生コンクリートの導入が盛んに行われている。一方、波浪が直接作用したり、潮が飛散する場所である海岸・沿岸域は、植物にとって厳しい環境にあり、またそのほとんどがコンクリート製であるため、海岸植物が繁茂することはなく、海岸における緑化を目的として、あるいはコンクリートを植生基盤とした事例はほとんど見られない。人が集まる港湾などのウォーターフロントで景観上の観点から、木製ボードウォークや植物を植えるポットを有した物が多用されたり、また、海岸構造物である離岸堤や突堤においては、自然材料との調和を目的として、自然石や擬岩などを用いた構造物のほか、木材や樹木の利用が行われている程度である。植物が地球温暖化の原因であるCO2の吸収に大きな役割を担うことから、緑化に有効な用地として、海岸・沿岸などの非緑地が緑地を創造する未利用地として有望と考えられてきており、海岸植物の重要性が認識されてきている。
同社ではこのような背景に対して、平成12年4月から河川護岸などの緑化で実績のあるベジクリート(植生コンクリート)を用いて海岸・沿岸域のコンクリート構造物を緑化する技術の開発を進めてきた。
ベジクリートは、コンクリート中でも植物の生育を可能とした植生コンクリート技術で、ポーラスコンクリート、充填土壌材、覆土材、植物から構成される。植生基盤となるポーラスコンクリートは、砂を使わずに砂利同士をセメントペーストで固結させることで、内部に連続空隙を有するコンクリートであり、植物が根を張る隙間を有している。その空隙に土壌を充填し、ポーラスコンクリート表面に覆土材を薄層客土し、背丈の低い草類を植栽するのがベジクリートである。植栽を目的とするポーラスコンクリートでは、空隙率、圧縮強度およびアルカリ溶出の有無が考慮すべき点である。本技術に用いるポーラスコンクリートは、河川護岸に適用する場合と同一の仕様として、空隙率25~30%、圧縮強度10N/mm2を有するものを用いている。また、アルカリ分溶出を抑制させる目的で、コンクリート表面をアルカリシール材で被覆処理する。
本技術で海岸・沿岸域のコンクリート構造物を緑化するためには、厳しい海洋環境下で生育可能な植物を選定する必要がある。そこで、植生基盤であるポーラスコンクリートに適する植物で、耐塩性に優れ、厳しい乾燥に耐えることができる植物を選定した。さらに、他種の入り込みに対する抵抗性や維持管理の容易さから越年して生育可能な多年草であることも考慮した。
選定した植物により、ベジクリートの試験ブロックを製作し、実際の海岸での曝露実験によって海岸環境に適する3種類の植物を確認した。試験に用いたコンクリートブロックは、縦30cm×横30cm×厚さ7.5cmのポーラスコンクリート板とし、その空隙に土壌を充填し、選定した植物を植栽したものである。平成12年7月に試験ブロックを製作し、工場で養生した後、植物が繁茂した状態で同年11月に現地へ設置した。設置場所は冬季に多量の塩分を含んだ強い寒風が吹き付ける日本海に面した海岸である。
本技術は、コンクリートを緑化するベジクリートと耐塩性植物を組み合わせて、海岸・沿岸域のコンクリート構造物を緑化する技術である。ポーラスコンクリートを植生基盤とするため、海洋環境下においても所要の耐久性を有しており、緑化することによって構造物を自然と調和させることができる。さらに、景観が良くなるのはもちろんのこと、夏季にコンクリートの表面温度の上昇を防ぐことにより、快適な空間を創造することが可能となる。
一年を通した気象サイクルでの曝露試験によって、耐塩性植物とベジクリートを組み合わせたコンクリート緑化技術が、厳しい海洋環境下で適用可能であることを確認した。今後は各方面への営業展開を図って行く予定。

