超高強度コンクリートの鋼管RC柱を実用化
2003年2月4日
戸田建設(株)(社長:戸田守二)は、耐震性に優れた超高強度コンクリートの「鋼管RC柱」を開発し、日本最大級の54階建・45階建のツインタワー超高層住宅で実用化した。
近年、都市部では30階~40階程度の超高層住宅が数多く建設されており、最近では50階を越えるようなさらなる超高層化に対するニーズが高まっている
超高層住宅では、高強度コンクリートの実用化により、風揺れに強く、経済的なRC造が採用されるケースが多くなってきている。例えば、30階~40階程度の超高層住宅の柱には、設計基準強度(Fc)が60N/mm2程度の高強度コンクリートを用いており、これに対して、50階を越える超高層住宅では、階数の増加に伴い、必要なコンクリート強度が高くなり、下層階の柱にはFc100N/mm2程度の超高強度コンクリートを用いることになる。そのため、さらなる超高層化のニーズに応えるには、より強度が高い超高強度コンクリートの実用化が鍵となってくる。しかし、超高強度コンクリートは、最大圧縮強度に達した後の荷重低下が激しく、脆性的な破壊を生じる危惧があった。そのため、超高強度コンクリートを柱に用いるには、脆性的な破壊を防止することが重要であり、その技術が求められてきた。そこで、超高強度コンクリートを帯筋で拘束するとともに、外周を鋼管で拘束することにより、ダブルコンファインド(二重拘束)コンクリートとして、脆性的な破壊を防止し、耐震性を向上させた「鋼管RC柱」を開発に至った(特許出願中)。
この「鋼管RC柱」は、従来の柱に比べて、以下のような特長がある。
(1)RC柱に比べて、帯筋外側のかぶりコンクリートが鋼管により拘束されているため、かぶりコンクリートの圧壊による耐力低下を抑制できる。
(2)鋼管コンクリート柱(CFT柱)に比べて、鋼管は曲げモーメントや軸力を負担することはなく、コンクリートの拘束だけに用いており、さらに、帯筋との二重拘束のため、鋼管の厚さを薄くすることができる。
(3)繊維混入の超高強度コンクリートに比べて、鋼管が火災時の外部拘束材として作用するため、爆裂抑制のための繊維混入が不要。
(4)耐震補強の鋼管巻き柱に比べて、鋼管はコンクリートの型枠と兼用して、コンクリートを打設できるので、鋼管内側の隙間がなく、グラウト材注入が不要。
「鋼管RC柱」には、鋼管の範囲、あるいは鋼管の取付け方法の違いにより、標準的な鋼管RC柱のほかに4タイプがあり、要求される柱の強度、変形能力に応じて、最適なタイプを経済的に選択できる。
(0)鋼管RC柱(標準) :柱全長にわたり、同一の厚さ、溶接仕様の鋼管
(A)異種溶接鋼管RC柱 :柱全長にわたり、同一の厚さで溶接仕様が異なる鋼管
(B)異種厚鋼管RC柱 :柱全長にわたり、同一の溶接仕様で、板厚が異なる鋼管
(C)柱頭・柱脚鋼管RC柱 :柱頭、柱脚部のみに鋼管
(D)補強鋼管RC柱 :面外拘束用ボルト付き鋼管
「鋼管RC柱」の優れた耐震性能は、構造実験により検証されている。その一例として、鋼管の有無による高強度RC造柱の荷重―変形関係を比較すると、鋼管の拘束効果により曲げ圧縮域の劣化が抑制され、部材角1/20まで荷重低下のない優れた変形性能が確認できる。さらに、鋼管RC柱は、高軸力下におけるコンクリートの圧壊による軸ひずみの累積が抑制できており、超高層住宅の柱としての最も重要な性能である軸力保持能力に優れている。
この独自の「鋼管RC柱」の開発により、従来のCFT構造に比べて、構造コストを約30%縮減でき、施工性はこれまでの高強度コンクリートを用いた柱と同等で、コンクリートの充填状況は、事前の施工実験により確認されている。
現在、東京都東雲地区に建設中である我が国最大級の54階建・45階建の超高層住宅「Wコンフォートタワーズ」(事業主:三菱地所(株)・三菱商事(株)・菱進都市開発(株))では、耐震性に優れた「鋼管RC柱」を採用して、安心できる住まい、長寿命の住まいを目指した。
「Wコンフォートタワーズ」では、1階および2階の柱に「鋼管RC柱」を採用しており、54階建住宅棟では、鋼管RC柱の施工は順調に完了した。
今後は、40階~60階程度の超高層住宅に対して、超高強度コンクリートを用いた「鋼管RC柱」を提案して、高性能RC造超高層住宅「Super HRC(スーパーエイチアールシー)システム」を積極的に展開してゆきたいと考えている。

「鋼製RC柱」を採用した超高層住宅「Wコンフォートタワーズ」
