2003年10月17日

 戸田建設(株)(社長:加藤久郎)は、21世紀社会の高齢化、情報化、国際化に向けた医療施設の変革を展望して、(財)東京都老人総合研究所(所長:林 泰史)と進めてきた共同研究の成果と提言内容を、このほど『これからの病院建築指針』と題して一冊の報告書にまとめた。

 本研究は、マスコミに掲載された「医療施設の環境評価手法開発/戸田建設」の記事が媒体となり、東京都老人総合研究所と同社が共同研究契約を締結して、平成12年9月から3年を経て完了した官民協働プロジェクトである。

 研究の主旨は、近未来の医療施設のあるべき姿を構想立案することであり、医療界のオピニオンリーダーの講演や討論などを経て「12項目の計画提言」に絞り込み、21世紀の病院像を世に問う内容になっている。

 報告書は、独自の五段階接近法による問題解決策としてまとめられている。

第一段階:『GOAL:目標』理念の標榜
  (1) 患者の立場から医療現場の理想像を実地で聞取り
  (2) 医師や看護師など医療提供側の理念を確認
  (3) 21世紀の医療展望など上位計画の調査

第二段階:『FACT:現況』課題の抽出
  (1) 患者満足(CS)の背景要因となる設備と施設の老朽化
  (2) サービスの質、医療事故防止の社会要求と職員疲労
  (3) 医業経営の脆弱性と保険・医療・年金などの制度疲労

第三段階:『CONCEPT:概念』判断軸の起案
  医療は「快・癒・機」、福祉は「共・生・安」の新しい評価軸を起案し、医療福祉の連携を視野に、『癒院』という新しい呼び名を提唱している。

第四段階:『PLAN:計画』構想の堤案
 これからの医療施設 「12の提言」をこの段階において堤案している。
 各々の提言は、参画された(株)日建設計、(株)伊藤喜三郎建築研究所、(株)ジィバィケィほか、医療福祉分野の設計、設備など専門家が執筆をしている。

第五段階:『LAUNCH:発進』運営戦略の策定
 医療施設の先進事例と、現場の実態(エビデンス)を把握するために、
  (1) 「救急・個室的多床室・IT導入」のテーマ別に先進3病院を現地訪問
  (2) 従事者の施設環境満足度と心身の蓄積疲労状況のアンケート調査を実施した。
  これらの調査結果から、「アメニティ」と「ストレス」の評価を行い、物理環境と心身負担に関する改善策を提言した。優しい接遇サービスの提供、ヒヤリハットや医療事故防止に向けての基礎データとして活用していただきたいとしている。

 病院を得意分野とする同社は、全国の病院実績より蓄積されたノウハウをもとに、今回の共同研究成果を広く医療福祉関係者に提言し、運営ソフト面の提案を含めた医療機関との協働体制を整備して、CS(顧客満足)を優先した医業経営の支援協力を行う方針である。

これからの医療施設「12項目の計画提言」
1. 快適軸:「空間性・体感性」の側面からの提案。
  (1) 患者定位置、職員集結型のチーム医療など新しい診療部門計画
  (2) 個室化と個室的多床室が中心の新しい病棟部門計画
  (3) 災害・有事などの救急部門と外来部門の独立化などの空間計画
  (4) 快適、安全な空調、衛生、電気設備計画と院内感染制御対策
  (5) 環境マネジメントからみた清潔清掃のあり方
2.平癒軸:「美観性・安息性」の側面からの提案
  (6) 医療福祉施設におけるユニバーサル&エコロジーデザイン計画
  (7) 5感に優しい癒しのカラーコーディネーション計画
          3.機能軸:「容易性・信頼性」の側面からの提案
  (8) 100年病院の提案、高耐久躯体によるサステナブルデザイン
  (9) 外断熱、外配管、免震工法による高環境、長寿命、保全計画
  (10) ITシステムによる病院運営の変革
  (11) FM(ファシリティマネジメント)からみた医療施設の戦略的活用
  (12) 医療施設におけるリスク&セキュリティマネジメント


共同研究報告書の装丁
東京都老人総合研究所・戸田建設

以上