2003年10月20日

~基礎構造の合理化、環境負荷の低減を実現~

 戸田建設(株)(社長:加藤 久郎)は、福岡市に建設中の(仮称)シロクス九州営業所新築工事(建築主:城楠歯科商会、設計監理:本多環境・建築設計事務所、構造設計:デザイン・構造研究所)において,新たに開発したソイルセメント本設パイル(TO-PSP:Toda Permanent Soil Cement Mixing Piles)工法を基礎構造として初めて採用し、基礎工事の大幅な合理化を行うとともに、環境負荷の低減も実現した。

 本工法は、セメントミルクを注入しながら地盤を攪拌混合したソイルセメント柱に芯材(形鋼)を挿入して、建物荷重を支持層まで伝えるための本設の支持杭を造成する。施工は、仮設の山留め壁構築に用いるソイルセメント柱列壁と同じ施工機械を用いて連続して行えることから、従来工法のように建物の外周部に山留め壁とは別の杭を打設する必要がなくなり、基礎工事の工期を大幅に短縮するとともにコストダウンもできる。あわせて、使用材料、廃棄物の削減もできるため、環境負荷の低減も実現できる。本工法は、本年3月に(財)日本建築総合試験所から「PSP工法-芯材を有するソイルセメント杭工法」として建築技術性能証明(第02-22号)を取得しており、本工事は採用の第1号となる。

 本工事の概要は末尾に示す通りで、杭施工径は55センチメートル、杭長さはソイルセメント長で13.1メートル、芯材長で12.0メートル、杭本数は3連を1セットとして94セット、芯材122本である。

 今回の工事では、本来の目的である基礎工事の合理化、環境負荷の低減と共に、PSP工法による杭で建物外周を囲むように壁状に配置することで、基礎構造の耐震性を確保し、かつ、地震によって建物下の地盤が大きく変形することを拘束して地震時の液状化による被害を防止できることにも期待できる。さらに、大規模な施工機械を必要とするため、本工事のような比較的狭隘な敷地では施工計画が難しい杭打ち工事を省略できることから本工法が採用された。

 これまでのソイルセメント柱列壁工法による仮設の山留め壁の構築方法では、ソイルセメントの品質は安定していなかったが、本工法では、セメントミルクの配合、攪拌回数について厳密な施工管理、品質管理を行い、施工性、施工精度を確保すると共に、芯材+ソイルセメントの複合構造として建物を支持することができる、本設の構造物としての性能確保をはかるべく施工指針を作成している。

 本工事の施工も、性能証明を取得した施工指針に基づいて行ったが、仮設のソイルセメント柱列壁工法では往々にして見られるような、芯材がソイルセメント先端に近い深さまで挿入できないといったトラブルもなく、順調に予定通り完了した。

 さらに、施工後に杭の中からサンプリングしたソイルセメント試料を用いて、品質確認のための強度試験を行った結果、一般部では必要強度1平方ミリメートルあたり1ニュートンに対し、3.3ニュートン、先端部では必要強度5ニュートンに対し6.6ニュートンと、すべて支持力確保に必要な強度を上回っていた。また、強度のばらつきも、変動係数(標準偏差を平均値で割った値=小さいほどばらつきは小さい)で一般部0.38、先端部0.14と、深層地盤改良工法による、一般的なソイルセメントの変動係数の上限値0.45よりも大幅に小さく、特に支持力確保のために重要な先端部で高い品質が確保されていることを確認した。

 同社では今後もPSP工法の適用を拡大し,基礎構造の合理化および環境負荷の低減を進めて行く予定である。

工事概要
工事名称 シロクス九州営業所新築工事
工事場所 福岡市博多区上牟田1丁目231
施  主 株式会社 城楠歯科商会
設計監理 本多環境・建築設計事務所
構造設計 デザイン・構造研究所
構造規模 RC造ラーメン構造、一部ブレースフレーム構造、吊り構造
地上5階 地下1階
建築面積 215.66㎡
延床面積 956.90㎡
基  礎 TO-PSP工法
杭本数 94セット、芯材122本
施工径 芯材φ550、H-340x250x9x14
施工長 ソイル長13.1m、芯材長12.0m
設計荷重 350kN/本(芯材)

従来の工法とTO-PSP工法の違いを示した図

 

以上