2003年11月17日

~湿潤養生マット「アクアマット」を開発~

 戸田建設(株)(社長:加藤久郎)は早川ゴム(株)(社長:早川雅則)と共同で、コンクリートの湿潤養生に用いる新しいコンクリート湿潤養生マット「アクアマット」を開発した。

 コンクリートは打ち込んだ後、乾燥によるひび割れ発生の防止と、所要の強度発現を目的として表面を湿潤状態に保たなければならない。このため、従来は散水を行ったり、スポンジタイプの養生マットを用いることにより湿潤養生していたが、乾燥が早く湿潤状態を保つことが困難であった。また、構造物の斜面や鉛直面の湿潤養生は一部工種を除いては実現が困難な状況である。

 このような現状の下、戸田建設では湿潤養生と保温養生を同時かつ効果的に行うことが出来る「Qマット」を開発し、多くの採用実績を上げてきたが、今回、湿潤養生に特化し、より保湿効果を高めたコンクリート湿潤養生マット「アクアマット」を開発し実用化の目途をつけた。

 「アクアマット」の最大の特長は、保湿材料として水膨潤ウレタンを用いたことである。水膨潤ウレタンは大量の水を含むことが可能で、一度取り込んだ水は圧力や重力によって排出されにくく、徐々に放散される。「アクアマット」はこの性質を利用することにより、1㎡当り800mlの初期保水量を確保しているため、養生対象のコンクリート表面に敷設するだけで、散水を行うことなく長期間湿潤性を保つことができる。また、水を水膨潤ウレタンに保持しているので、斜面や鉛直面に敷設した場合でも、養生水が下部に抜けることが少なく、長時間の湿潤養生が可能である。更に、「アクアマット」は耐候性などの耐久性も従来の養生マットに比べて優れている。

 「アクアマット」の構造は、不織布に水膨潤ウレタンを点在させた保水層と、フィルムを用いた被覆層の2層で構成され、水膨潤ウレタンに取り込まれた水が直射日光や高温によって蒸散しにくいように工夫されている。厚さは1mmで従来のスポンジタイプ養生マット(厚さ10mm)に比べ薄く、取り扱いが容易である。

 「アクアマット」の使用方法は、「アクアマット」を水に浸漬し、十分吸水させた後、養生対象構造物の表面に敷設するだけであり、斜面や鉛直面への敷設も可能である。敷設後の「アクアマット」への給水は基本的には不要であるが、炎天下で使用する場合や長期間養生する場合は適宜給水を行う。

 「アクアマット」による湿潤養生を行うことにより、以下に示す効果が得られる

(1) 必要とされる湿潤養生期間や天候にもよるが、アクアマットを用いれば、通常行うコンクリート表面への散水が不要になるか、もしくは大幅に回数が低減し、手間の削減と発生する濁水量の低減が図れる。
(2) コンクリート表面付近の相対湿度は、養生を行わない場合に比べて10%以上高くなる(従来の養生マットは1~2%程度の湿度上昇)。
(3) コンクリート表面付近の強度が、養生を行わない場合に比べて50%以上向上する。
(4) コンクリート構造物の耐久性を損なう中性化と、塩分浸透の深さが無養生の場合に比べて浅くなり、中性化深さは35%程度に、塩分浸透深さは73%程度に抑制される。

 戸田建設と早川ゴムは今後「アクアマット」の現場での実証施工を重ね、市販も含めた実用化を早期に目指す。

 戸田建設では「アクアマット」と並行して吹き付けタイプの養生マット「スプラマット」の開発も進めている。「スプラマット」は保水性のある材料を含んだエマルジョンをコンクリート表面に吹き付けるもので、吹き付け後短時間で固化し、湿潤養生効果を発揮する。「スプラマット」は養生終了後は人力で容易に剥離することができるため、長期間コンクリート表面を保護することもできる。また、「スプラマット」は吹き付けタイプであるため、敷設タイプの養生マットでは養生が困難な、たとえばトンネルアーチ部の養生も可能であるため、今後、このような従来は湿潤養生が困難であった箇所の養生を主目的として実用化を目指す。


アクアマット敷設状況


湿潤養生効果の比較

以上