2003年12月4日
戸田建設(株)(社長:加藤久郎)と西松建設(株)(社長:國澤幹雄)は、平成11年10月の業務提携以来、共同研究テーマの一つとして、社会資本の根幹を担うコンクリート構造物の健全度を総合的に診断・評価するシステムの開発を進め、リニューアル市場をターゲットにした活動を展開している。
21世紀はストックメンテナンスの時代といわれ、コンクリート構造物の多くは社会資本としての使命を有しており、長期間の供用に資するためには低コストで維持管理することが重要となる。そこで、ライフサイクルコストの視点に基づいた適切な維持管理技術の開発が求められている。
そこで戸田・西松両社は今回トンネルを対象とした「コンクリート表面変状調査・展開図作成システム」を開発した。このシステムは、既設トンネルの変状調査およびトンネル竣工時の調査、さらにその後の定期点検における経年劣化を追跡調査できることと、展開図をより早く作成することを目的に改良開発したのもである
今回改良したものは、従来の調査システムに測量システムを搭載し、位置座標を持つ調査画像としたことで、ひび割れなどの経年変化の追跡が可能となる画期的なものである。さらに従来、目視および手作業により多大な労力と時間を要していたトンネル覆工の変状展開図作成が、パソコンを用いた自動画像合成処理により迅速・効率的・低コストでできるようになった。なお、このシステムは戸田・西松の共同研究で、コンクリート構造物の健全性を適切に評価・診断し、補修工法を提案する「健全度評価システム」と二本柱を成す調査システムとなっている。
システムの概要は、現場で簡便に調査できるようにコンパクトな装置としており、デジタルカメラによってコンクリートのひび割れ、剥離、漏水などを連続的に撮影するようになっている。調査システムの今回の改良点は、調査台車に搭載した光波測距儀により取得した位置座標を画像データに付加した点にある。事前にトンネル調査の測線データをパソコンに入力することにより、調査台車を調査開始点に設置した後、搭載した光波測距儀により台車移動後の基準点視準を自動的に行い、撮影画像に位置座標を付加する。そしてトンネル断面の撮影距離に応じて自動的に画像のあおり補正を行い、円周方向に撮影画面を合成後、トンネル軸方向にも連結してトンネル覆工コンクリート表面の画像展開図を作成する。これらの合成された画像からひび割れを抽出し、パソコン画像上に表示されたクラックスケールによりひび割れ幅を特定する。また、ひび割れ幅ごとのグレードでひび割れ幅と長さを特定することで、劣化状況の指標となるひび割れ密度などを算出する。さらに、その他の変状状態も画像より判定し、トンネル変状展開図を作成する。このシステムでは、定期的な調査の実施により、ひび割れなどの変状の進展状況を観察・記録することができる。これらの展開図データは電子化されており、トンネル覆工の維持管理のデータベースとして利用できる。
今後は、構造物の対象をボックスカルバート・高架橋など、一般構造物までの適用拡大を図り、鉄筋コンクリートの鉄筋腐食調査結果なども展開図に加えるとともに、最終的にコンクリート構造物の健全度を診断し、評価を行えるトータルシステムとして開発を目指す。
◆使用機器- デジタルカメラ2台………表面変状の写真撮影
- 光波測距儀…………………位置情報(座標)の取得
- 調査システム装置付き台車
- 幅0.2mm以上のひび割れの検出
- ひび割れの座標や長さ、ひび割れ密度の算出
- 調査速度は、40m~50m/hr
- 成果品は電子納品を視野に入れ、パソコンにより画像処理を施したひび割れなどの変状展開図


