2004年1月14日
戸田建設(株)(社長:加藤久郎)は、従来の場所打ちコンクリートによる二次覆工に代わる薄肉防食ライニングである、アクリル樹脂防食被覆工法の開発を(財)下水道新技術推進機構との共同研究の中で進めてきたが、今回実験においてその効果を確認した。
下水道のシールドトンネルには、従来から場所打ちコンクリートによる二次覆工(※1)が施工されてきた。コンクリート二次覆工の機能としては、(1)蛇行・不陸の修正 (2)内面平滑性の確保 (3)防水・止水 (4)セグメントの防食 (5)セグメントの補強などがあげられるが、近年、シールドの掘進精度の向上、防水シール材の機能向上などにより、コンクリート二次覆工に求められる主な機能は、セグメントの防食と内面平滑性と言える。特に、下水に含まれる硫化水素に起因したコンクリートの腐食が維持管理上問題となってきており、また、管渠の場合、処理場やポンプ場に比べ、施設構造上から常時監視することが困難なため、コンクリートの腐食を発見することは難しく、新設工事において劣化しにくい対策を取ることが望まれてきた。
薄肉防食ライニングのひとつの工法であるアクリル樹脂防食被覆工法は、コンクリートの腐食に対する十分な防食機能を有し、管渠の長寿命化が図れるとともに、掘削断面の縮小化による工事全体のコスト縮減、工期短縮を可能とする工法である。施工方法としては、セグメントの内側にプライマーを塗布したのち1.5mmの厚さでアクリル樹脂を吹付け、コンクリート表面を被覆する。
アクリル樹脂防食被覆工法は次の特徴をもつ。
・「コンクリート防食指針(案)」(下水道事業団)D1種基準を満たし、耐酸性・耐アルカリ性に非常に優れている
・専用吹付け機による作業で、滑らかな仕上がり面が得られる
・粗度係数は塩ビ管と同等で0.01以下であり、コンクリートよりも流下能力に優れている
・アクリル樹脂は硬化時間の調節が容易であるため、他の瞬結する樹脂に比べ施工上取り扱いやすい
・湿潤状態でも接着性が高いため、表面水を拭った程度で施工が可能である
・砂粒輸送試験の結果から、下水道管に適用した場合の50年後の推定摩耗量は0.036mm以下であり、吹付け厚さ1.5mmの施工で高い耐摩耗性を確保することができる。
具体的にコスト縮減、工期短縮効果を試算すると、例えば仕上がり内径3,000mm、シールド延長1,000mのトンネルにおいては、掘削断面積を24%縮小することができ、工事費は約7%の縮減が可能となる。また、同条件下での1日あたりの出来高で工期を比較すると、二次覆工が9mに対してアクリル樹脂防食被覆工法が11mであり、工期を18%短縮することができる。また、この防食被覆は大がかりな機器を用いないため、作業班の数をふやすことによってさらに工期を短縮することも可能となる。
本工法は、同社施工のシールド工事現場の立坑のインバートとシールド部内周で施工され、良好な施工が確認できた。今後、経年磨耗量を確認するために、1年経過毎または豪雨時などに随時被膜厚の測定を実施して性能を確認するとともに、さらに機械による自動吹付けも検討する予定である。
※場所打ちコンクリートによる二次覆工
シールドトンネル工事ではシールド機で掘削した地下空間を、円形の鋼製あるいはコンクリート製セグメントで覆工することにより、地下トンネルを構築する。この覆工を一次覆工と呼ぶ。さらに下水道や上水道などの用途に応じて、一次覆工の内部にダクタイル管やコンクリートなどにより管路を築造することが二次覆工である。場所打ちコンクリートによる二次覆工は、一次覆工内周部に一定厚さのコンクリートを打設することにより管路を築造する。
