2004年1月14日
戸田建設(株)(社長:加藤久郎)と西松建設(株)(社長:國澤幹雄)は、我が国で最高レベルとなる圧縮強度200N/mm2級の超高強度RC造に、「デュアル制振デバイス」を初めて適用した構造実験を行い、50階建から80階建までの超高層住宅の骨組に対して優れた制振性能を発揮することを実証した。
近年、都市部では風ゆれに強く、経済的な超高層RC造住宅が数多く建設されており、最近では、50階を越えるような更なる超高層化に対するニーズが高まっている。さらに、フレキシブルな住まいを実現するため、柱と柱の間隔(スパン)がワイドになり、1本の柱が支える荷重はますます大きくなっている。これらのニーズに応えるには、より強度が高い超高強度コンクリートが必要になってくる。
一方、長寿命の住まいの実現には、耐久性とともに、地震時の骨組の損傷をできるだけ抑制することが求められている。そのためには、地震時のエネルギーを吸収する制振デバイスを骨組に設けることが有効である。「制振デバイスを組み込んだ超高強度RC造骨組」は、ワイドスパンの超高層住宅をしっかりと支えるとともに、地震時の損傷を抑制できる、耐震性・耐久性に優れた骨組である。
戸田建設と西松建設は、超高層RC造を対象とした「デュアル制振デバイスTN-DHD」*1(特許出願中)を開発し、これまでにRC造骨組に適用した構造実験を行ってきた。
今回、我が国で最高レベルの圧縮強度となる、200N/mm2級コンクリートを使用した超高強度RC造骨組に、「デュアル制振デバイス」を初めて適用した構造実験を行い、その優れた制振性能を実証した。
*1:TN-DHD;Toda & Nishimatsu - Dual Hybrid damping Devices
超高強度コンクリートには、圧縮強度が200N/mm2級のRPC(反応性粉体コンクリート)を使用しており、今回の実験には、実物大の約1/3スケールの3層試験体を用いている。この試験体は太平洋セメント(株)との共同製作である。
現在、超高層住宅の柱に用いられているコンクリートの最大圧縮強度(設計基準強度Fc)は、30階~40階建では60N/mm2、50階では100N/mm2程度である。200N/mm2級の超高強度コンクリートは、現在と同じサイズの柱の場合、100階建まで、あるいは現在の2~3倍の床面積を支えることができる圧縮強度を持つ材料である。
超高層住宅の柱は、大きな床荷重を支えているため、地震時の損傷をできるだけ抑制することが重要である。そのため、超高強度RC造骨組にデュアル制振デバイスを設けることにより、地震時のエネルギーを効率的に吸収させ、超高層住宅の骨組の損傷を制御することを目指している。
デュアル制振デバイスには、対象外乱・制振特性の異なる2種類の履歴系デバイスと、粘性系デバイスを用いている。履歴系デバイスは、地震を対象とした低コストの低降伏点鋼パネルである。粘性系デバイスは、強風・地震を対象としたオイルダンパーである。
特性の異なる制振デバイスを複合することで、日常の強風から大地震までの、幅広い外乱による揺れを効果的に低減することができる。そのため、単独の制振デバイスに比べて、同等以上の制振効果をより少ない設置数で得ることができる。さらに、コストの高い制振デバイスと低コストの制振デバイスを複合することで、制振デバイスのコストを低減できる。超高層建物のシミュレーション結果では、デュアル制振デバイスは単独の制振デバイスに比べて、デバイスのコストを30%以上低減できた。
低降伏点鋼を用いた制振柱(特許工法)は、現在建設中の54階建住宅をはじめ、超高層RC造住宅6棟に採用されており、竣工した3棟を含め、既に9棟の超高層RC造住宅への採用実績がある。また、デュアル制振デバイスは、現在計画中の50階建以上の超高層RC造住宅において採用を検討している。
「デュアル制振デバイス」は、魅力ある超高層住宅の展開に大きく寄与できる技術である。超高強度RC造骨組に設置することで、安心できる超高層の住まいが実現できる。
今後、40階建以上の高品質で経済的な超高層住宅をご提供するため、「制振デバイスを組み込んだ超高強度RC造骨組」の積極的な技術展開を図って行く予定である。

図1 超高層RC造住宅向けのデュアル制振デバイスの一例
TN-DHD-Ⅰ (低降伏点鋼パネル+オイルダンパー)
TN-DHD;Toda & Nishimatsu - Dual Hybrid damping Devices

図2 デュアル制振デバイスを組込む超高強度RC造骨組の構造実験
(写真はデュアル制振デバイスを取り付ける前の状況)
