2004年1月21日
西松建設(株)(社長:國澤幹雄)と戸田建設(株)(社長:加藤久郎)は、業務提携発表以来、共同で技術開発を推進してきたが、今回、細高い(高塔状比)建物を主な対象とした「アップリフト制振システム」を開発した。
阪神・淡路大震災以来、大地震を対象とした様々な制振技術が採用されており、これによって構造性能は向上するが、建設コストの増大や構造システムの複雑化に伴うメンテナンスの煩雑性をもたらし易くなることが考えられる。従ってコストが安く、メンテナンスが容易で頑健かつ単純な制振システムが望まれている。
西松建設と戸田建設は、建物脚部の浮き上がりを許容するとともに衝撃力を低減するデバイスを組み込んだ制振システム、「アップリフト制振システム TN-URC 」*1を共同開発してきた。
*1:TN-URC ; Toda & Nishimatsu - Uplift Response Control System
従来の建物は、上部構造の脚部と基礎構造を緊結している。すると大地震時には、1階柱や基礎構造が過大な応力を負担することになる。特に細高い(高さ/幅の塔状比が高い)建物では、引っ張側の基礎構造に引き抜き力が生じ、逆側では大きな圧縮軸力が生じて、設計上、施工上に特別な配慮を必要とする場合もある。アップリフト制振システムは、この問題を解消する方法である。
アップリフト制振システムでは、上部構造の脚部と基礎構造間をフリーにして、強震時にはその間が浮き上がることを許容する。そうすると、地震動(地面の揺れ)が大きくなっても、建物に入力される地震力に頭打ちが生じて、上部構造の損傷が軽減されるとともに、基礎構造の応力も低減される。細高い建物でも基礎構造に引き抜き力は起きず、浮き上がりが反転する際には、建物自重が復元力として働く単純さもある。
アップリフト制振システムは、設計用地震入力に対して設計どおりに浮き上がらせ、浮き上がりによる建物の変形や着地時の衝撃力を過大にしないようにダンパーを配したほぼメンテナンスフリーで頑健な制振システムである。
今後は、デバイスの改良を進めて、実用的な技術成果をあげてゆきたいと考えている。
