2004年02月12日

外壁保存にTO-HIS構法を採用

 戸田建設(株)(社長:加藤久郎)は、横浜市内に建つ地上21階建ての超高層免震マンション「D’グラフォート横浜Cruising Tower」(発注者:大和ハウス工業(株))に歴史的建造物のファサードを復元し、タワー型の現代建築に古典主義建築の装飾を融合した新たなランドマークとして、街行く人の注目を集めている。平成14年3月6日に大臣認定を取得し平成14年3月29日に着工、本年3月竣工間近である。

 既存建物は横浜出身の建築家矢部又吉が設計した、戦前の古典主義様式である銀行建築の典型として貴重な遺構であった。イオニア式の大オーダの円柱を持ち、ピラスター頂部や、コーニス下端に華麗なクラシックの装飾帯を持ち、正統的な古典主義建築の骨格と、細部を有した矢部の横浜での代表作品といえる。

 本町通りから馬車道にかけ、この一帯は戦前の横浜金融界の中心地であった。この旧三菱銀行・周辺の旧横浜正金銀行本店・日本火災横浜ビル・旧安田銀行・横浜銀行協会などとともに、横浜の戦前金融界の歴史を、目に見えるものとして体現している貴重な存在であった。永年に渡り関内地区の市民に親しまれた、交差点のランドマークとして、関内の歴史的景観に欠かすことができないことから、「歴史を生かしたまちづくり」の位置づけとし、平成元年1月歴史的建造物として登録された。その歴史的建造物の象徴である外観三面ファサードを復元、現在施工中の超高層マンションの外壁に取り付け保存することとした。建物への取り付けは、地震時の揺れに追随するよう、スウェイ方式によるディテールとしているが、恒久的な保存を目指しTO-HIS構法(Toda-High-performance-Isolation-System:戸田式免震構法)を採用している。

 TO-HIS構法とは免震装置に同社で開発した弾性すべり支承と、天然ゴム系積層ゴム、オイルダンパーを組合せた構法であり、本敷地のように軟弱地盤地域でも高い免震性能を発揮する。保存外壁を取り付ける1階から免震性能を確保するため、免震装置を基礎部に配置している。その結果、地震による揺れは非免震建物の1/3以下に低減され、震度6強以上の大地震が発生しても外壁は被害を受けないことをシミュレーションで確認している。また、2階から上部にある住宅部分での地震時の揺れも大幅に低減され、大地震でも全階にわたり家具の転倒が起こらない揺れとなっているなど、高い安全性と居住性を確保していることを確認している。平面計画にも免震構造の利点が活かされている。免震構造の採用により一般の住宅より広めの7.35m~8.125 mスパンを実現し、住戸のプランの自由度を広げることにも成功している。これにより間取りの変更が容易となり、分譲契約者の中でプラン変更の希望者にはニーズに合わせた設計変更を可能としている。

 コストについてもTO-HIS構法の採用で、約20%の低減を実現している。このTO-HIS構法は、大規模病院(東海大学医学部付属病院新病院:RC造地上14階地下1階、延べ床面積69,142m2)や事務所ビル(オリックス伏見ビル:S造地上11階、延べ床面積17,095.73m2)にも採用し、現在施工中である。

 今回歴史的建造物の外壁を新建築物に復元し、免震化を図るという新しい保存手法が成功したことで、同社はこの保存手法の全国展開を図る予定である。

工事概要
名称(仮称)ディーグラフォート横浜新築工事
発注者大和ハウス工業(株)神奈川中央支店
設計者戸田建設
施工者戸田建設
施工場所神奈川県横浜市中区本町4-41
建物用途共同住宅、店舗
敷地面積1,326.96 m2
建築面積902.22 m2
延床面積13,702.73 m2
規模地上21階、塔屋1階、地下なし
建物高さGL+71.9 m
構造鉄筋コンクリート構造
基礎場所打ちコンクリート杭
免震装置天然ゴム系積層ゴム、弾性すべり支承、オイルダンパー
工期平成14年3月 ~ 平成16年3月

D’グラフォート横浜Cruising Tower 全体イメージ

復元された外観三面ファサード1

復元された外観三面ファサード2

以上