2004年2月17日
戸田建設(株)(社長:加藤久郎)は愛知県名古屋市にて愛知県体育館の耐震改修工事を施工中である。当施設は、昭和39年に同社の施工で竣工し、第7回BCS賞を受賞している。また大相撲名古屋場所が開催されていることで有名な愛知県を代表するスポーツ施設である。
今回の改修工事では、地震に備えた柱、梁の全面的な耐震補強及び耐震壁の増設と同時に、既存屋根の鉄骨下地を含めた全面撤去および新設屋根(二重折板)葺きがその工事内容である。施工条件として、既存の内部天井を大部分残したままで、屋根を全面的に葺き替えるために工事中の雨水対策と、雨天時の施工ができることを考慮した設計がされ、仮設移動屋根を使用することが大きな特徴である。
仮設移動屋根は原設計では、鉄骨トラス構造として計画されていたが、組立に要する時間や手間を短縮するために軽量なパイプトラス構造の屋根を採用した。移動屋根の概要は、全長が83.2m(支点間66.2m)、全幅25.2mの仮設屋根である。駆動装置は、ウィンチによるものとし、移動する速度は2.6m/分である。今回の屋根葺き替え工事では、当初180tクラスのクローラークレーンを使用する予定であったが、既存屋根の解体ピースの重量や雨天時に施工できることを考慮した結果、移動屋根本体に天井走行クレーン(定格荷重1t×2台を1組)を3レーンで計6台設置して、クレーンガーターとしての機能を持たせた。
仮設移動屋根の組立は、全幅を3つのブロックに分けて、地上部でそれぞれのユニットを地組みして80tクレーンにて上架した。屋根上に組立て用ステージを事前に設置して、その上にユニットを預けて組立てた。1ブロックが組み上がった後、ジャッキダウンして奥へスライディングさせる。次のブロックも同様に組立てる。2つのブロックを連結させてつなぎ材を取付けた後、奥へ移動させる。3つめのブロックを同様にステージ上で、組立てた後に連結して全体の架構を完成した。外壁は東西面の両側から大型高所作業車にて無足場で施工した。
移動屋根を利用した作業として、既存屋根の解体および新設屋根補強鉄骨の取付けおよび屋根葺きがある。特に既存屋根の解体については、6台の天井走行クレーンを2台1組(定格荷重2t)で3列での同時施工を可能とした。結果、施工効率で当初クレーンを使用する計画で想定した以上の施工歩掛り(解体ピース数25ピース/日以上)が得られた。また、屋根鉄骨補強時には6台のクレーンを同時に個別制御できるようにして作業した結果、既存屋根解体および新設鉄骨補強工事が当初の工程より、工期を約15%短縮された。さらに天候による工程のずれがほとんどないために安定した工程管理が可能となり、鉄骨補強や屋根葺き替え工事の品質も十分に確保できた。
【用語】■二重折板
屋根用鋼製折板葺きにおいて、室内の温度変化に対しての影響を低減するために折板を二重にして、その間に断熱材(グラスウール)をサンドイッチした工法。
| 工事名称 | :愛知県体育館耐震改修建築工事 |
| 工事場所 | :愛知県名古屋市中区二の丸1番 |
| 発注者 | :愛知県知事 神田 真秋 |
| 設計者 | :愛知県建設部公共建築課(株)日本設計 名古屋支社 |
| 監理者 | :愛知県建設部公共建築課(株)日本設計 名古屋支社 |
| 請負形態 | :戸田建設・八神建設共同企業体 |
| 工事種別 | :耐震改修工事 |
| 構造・階数 | :RC造(B1F~2F)、S造(3F~屋根) |
| 工期 | :着工 平成14年10月18日~平成16年5月10日 (工事休止期間 平成15年5月11日~8月31日) |
| 主要用途 | :体育館(座席数 改修前4,442席、改修後4,335席) |
| 面積 | :建築面積7,143㎡、延面積16,143㎡ |
| 設備工事 | :電気、給排水衛生、空調、特殊設備、外構等 |
| 建物高さ | :軒高(18.0m)最高高さ(20.45m) (断熱二重折板工法) |
| 補強鉄骨 | :400t(3750ピース) |
| 主外装 | :既存ホーロー鋼板(t1.6)パネル張、小口タイル張 |
| 備考 | :昭和39年竣工建物の耐震改修工事 |

全景

断面イメージ

組立状況

屋根補強鉄骨状況
