泥水式シールドの切羽安定をリアルタイムに実現
2004年02月23日
戸田建設(株)(社長:加藤久郎)は、千葉県の下水道ネットワークシステムの路線工事のうち江戸川左岸連絡幹線工事〔戸田・淺沼・京成JV〕(発注者:千葉県)で泥水式シールドにリアルタイム切羽安定管理システムを採用し、切羽崩壊のない安定した掘削を実現した。シールド工事では地上や地下構造物への影響を極力抑えるために切羽を安定させることが重要であり、切羽の安定は、近年の都市再生事業に関連した地下管路工事の増加傾向の観点から、地下管路を安全に高品質で構築するシールド工事での必須技術として位置付けられている。
泥水式シールドの切羽安定では、切羽の土圧および水圧に対抗する泥水圧力を保持する必要がある。そのためには地山の条件に応じて泥水性状(比重、粘性)を調整するとともに、泥水圧の管理を行わなければならない。砂地盤やレキ地盤では、逸泥などにより切羽圧力が十分に保持されない恐れがあるため、泥水の比重や粘性、濾過特性などの管理が特に重要となる。
リアルタイム切羽安定管理システムは、従来地上に設置していた作泥設備を、シールド機後方台車にも設置可能な「リアルタイム切羽安定管理装置」として、コンパクトにまとめたものである。透水性の高い砂地盤では、増粘剤を直接送泥管中に添加し、スタティックミキサーで撹拌混合し、泥水の粘性を高めることで切羽の崩壊を防ぐことができる。さらに透水性の高い礫地盤では、必要に応じて地山粒度に適合した粒径の目詰剤を添加して逸泥を防ぐことが可能となる。リアルタイム切羽安定管理システムは、調泥剤ポンプ、撹拌装置などの一連の設備がユニット化されており、調泥剤の添加は中央管理室からの遠隔操作で行うことができ、利便性が高い。

目詰剤による切羽の安定
江戸川左岸連絡幹線工事においては、台地部から低地部に入る1,150m付近から、沖積粘性土および腐食土層となり、1,350m付近以降は天端部に沖積粘性土を一部含む洪積砂層の掘進となり、地表面への影響が懸念された。特に発進から約60mの区間は、土被りが1Dを下回り(最少土被り2.39m)、かつN値が3程度の非常に緩い砂層で崩壊性が高い砂層である。このような条件に対応して地山への影響を極力抑えて掘進するために、厳密な泥水管理(特に粘性の確保)を行う必要があり、リアルタイム切羽安定管理システムを採用するに至った。
今回の施工においては、想定した通り掘進中に泥水の粘性低下が生じ、リアルタイム切羽安定管理システムがフル稼働する状況となった。その結果、掘進作業を止めることなく、連続的に安定した泥水管理を行うことができ、地上に影響を与えることなく、2,120mを貫通させることができた。
リアルタイム切羽安定管理システムは、当現場のほか実験工事も含めて10現場の実績がある。今回の江戸川左岸連絡幹線工事における施工実績から本システムの有効性が実証された。また今回の計測データおよび施工記録が今後の類似工事への参考として活用されると考える。
工事概要
| 工事名称 | 千葉江戸川左岸連絡幹線 |
| 工事場所 | 千葉県市川市本北方3丁目 |
| 発注者 | 千葉県 |
| 施工者 | 戸田建設、浅沼組、京成建設JV |
| 工事概要 | 工事延長L=2120.5m 泥水式シールド工(シールド機外径φ2680mm) 一次覆工(スチールセグメント外径φ2550mm) 二次覆工 (FRPM管φ2000mm,ダクタイル管φ700mm) |
| 工期 | 2001/12/19 ~ 2005/03/2 |

現場での設置状況
