2004年3月26日
西松建設株式会社
戸田建設(株)(社長:加藤久郎)と西松建設(株)(社長:國澤幹雄)とは共同で技術開発を進めているが、その中で山岳トンネルグループは、情報化施工システム技術として、山岳トンネルの切羽前方地質を高精度に予測する「NT-EXPLORER 切羽前方探査システム」を平成14年に完成させ、その後積極的に現場適用を行い、保有技術の相互活用を進めている。NT-EXPLORERは、電磁法、弾性波反射法、穿孔探査の3つの手段を用いて総合的に地質を判定する探査システムであり、山岳トンネルにおける両社の標準的な探査工法として用いている。
注)NT-EXPLORER:Nishimatsu Toda‐EXPLORER
山岳トンネルの工事では、断層破砕帯や地下水など工事の進捗に支障となる脆弱な部分を精度良く予知することが要求される。しかし事前調査として現在行われている地表踏査、ボーリング、弾性波探査などの結果だけでは不十分であることが多く、突発的な湧水・地質急変など、緊急対応を余儀なくされることがある。このような事態を解消すべく、施工時に切羽前方の地質を効率よく確認する技術が強く望まれてきた。そこで、両社の保有する3つの探査技術について、地山状況に応じた特性や精度を検証し有効な技術の組合せを探るとともに、各探査法によって得られる異なった物性値(比抵抗値、弾性波反射面、穿孔油圧データ)の総合的検討により、NT-EXPLORERを完成させた。
NT-EXPLORERは、特色のある以下の3つの探査技術により構成される。
(1)地山の変質、地下水状況を磁場の応答で探る探査(TDEM法)(探査範囲、地表~700m程度)
(2)地山の破砕帯や亀裂密集部を弾性波の反射で探る探査(TSP)(切羽前方100m程度)
(3)地山の硬軟や破砕度を削岩機の穿孔エネルギーで探る探査(DRISS)(切羽前方50m程度)
これらの探査技術を組み合わせることにより、複雑な日本の地質に対して様々な地質条件に対応できるシステムとなっている。また、比抵抗値、弾性波速度、穿孔エネルギーなどの地山定数が数値データとして得られるので、地山を定量的に評価することができる。さらに補助工法の選定やその施工箇所の特定に有効な手段となり、切羽前方地山の状態を事前に予測することにより安全かつ迅速に施工を行うことができる。
現在、戸田建設社内では2現場でNT-EXPLORERが稼働中である。
(1)国土交通省中国地方整備局鳥取工事事務所「志戸坂峠道路 智頭トンネル工事」
平成15年2月より掘削開始した道路トンネルである。事前調査で、弾性波探査と電気探査などが実施されているが、さらに地山脆弱部、湧水発生を詳細な位置で把握することを目的としてDRISSを適用している。実施効果として、大量湧水位置及び地質性状を把握し、安全に掘削を進めている。
(2)独立行政法人水資源機構「徳山ダム国道付替6号トンネルその1工事」
平成15年7月より掘削開始した道路トンネルである。地表面への立ち入りが困難で弾性波探査が部分的に未実施であるので、トンネル切羽から実施するDRISS(穿孔探査)を適用している。DRISS実施効果としては、事前調査で予想されていなかった断層の性状と規模を掘削前に捉えて無事通過することができ、また岩判定資料としても参考的に活用している。
なお、西松建設社内においてもDRISS単独もしくはTSPと組み合わせたNT-EXPLORERが現在3現場で稼動中であり、地質脆弱層の位置・性状推定や支保パターンの想定などに役立てている。今後とも両社は本システムの水平展開に向けた活動を積極的に行い、NT-EXPLORERを戸田建設・西松建設の山岳トンネル工事に役立てていく。
