2004年6月7日

 戸田建設(株)(社長:加藤久郎)は、超高層住宅の新しい構造システム「スーパーエイチアールシーシステム」を54階建住宅に適用し、1フロア4日間の躯体構築サイクルを実現した。

 最近、超高層住宅の建設件数が増加しているが、その半数以上が鉄筋コンクリート造(以下、RC造と呼ぶ)である。RC造による超高層建築物は、鉄骨造に比べて風揺れが小さく、居住性や経済性に優れており、住宅には適した構造である。しかし、RC造は鉄骨造に比べて現場作業量が多いため、躯体工期が長くなり、30階以上の超高層住宅では、建設工期、特に躯体の工期短縮が課題とされてきた。そこで、同社は、居住性や経済性などのRC造の長所を生かしながら、住戸計画の自由度を増し、さらに工期短縮を可能とする超高層住宅の新しい構造システム「Super HRC システム(スーパー・エイチ・アール・シー・システム)」を開発した。

 現在、東京都東雲地区に同社で建設中である54階建・45階建の超高層住宅「Wコンフォートタワーズ」(図1)〔事業主:三菱地所(株)・三菱商事(株)・菱進都市開発(株)〕では、「Super HRC システム」を採用することにより、大幅な工期の短縮を実現している。

 「Wコンフォートタワーズ」の54階建住宅では、スパン9.5m、長さ27.5mの住戸ゾーンを中央の吹き抜け部まわりに3ゾーン配置している(図2)。この住戸ゾーンを柱や梁の無い大型の床スラブで支えることにより、住戸の大きさや間取りの自由度を大幅に向上させている。さらにスケルトン・インフィル住宅を目指して、配管スペースのために、床スラブには段差を設けている(図3)。フレキシブルな住戸ゾーンの躯体の構築状況は図4の通りである。

 このようなフレキシブルな住まいを支えるRC造の躯体を短工期で建設するため、「Super HRC システム」では、構造体の構築にはプレキャスト部材を現場で組み立て、接合して一体化する最新の「プレキャスト複合化工法」を採用している。プレキャスト部材は、専用工場にて製作したコンクリート製品であるため品質に優れ、現場での作業の省力化が可能となる。

 従来の現場打ちコンクリート工法を主体としたRC造では、中高層住宅で1フロア14~18日間、超高層住宅で1フロア7~8日間が標準的な躯体構築サイクルであった。これに対して、「Super HRC システム」のプレキャスト複合化工法では、プレキャスト部材の全面的な採用とその接合方法の工夫により、躯体の基準サイクル工程は1フロア4~5日間と大幅な短縮が可能となり、鉄骨系工法とほぼ同等の工期が実現できる。

 54階建住宅は、基準階の床面積が約1,400㎡であり、一般的な超高層住宅に比べて、床面積が約1.5倍もあり、施工効率の低下が危惧された。そのため柱、梁、スラブ、バルコニーなどにプレキャスト部材を採用するとともに、プレキャスト部材の大型化により、部材数を縮減し、現場作業量や揚重工程に配慮した工区分割を行った。また、プレキャスト部材の接合には、品質の安定した機械式継手や定着具を用いて、作業効率の向上を図った。その結果、1フロア4日間の躯体構築サイクル(図5)が実現し、従来の現場打ち工法に比べて、躯体構築サイクル日数を3~4割程度短縮することができた。特に、段差の付いた床スラブには、プレストレスを導入したT型リブ付きプレキャスト板を用いた当社独自の「大型段差スラブ」(特許出願中)を用いて、柱や梁の部材数を減らし、現場作業量を大幅に低減した。

 今後は、「Super HRC システム」の実績を重ねて、超高層スケルトン・インフィル住宅を実現する構造システムの充実を図り、一層のコスト縮減、工期短縮を行い、フレキシブルな住まい、安心できる住まい、長寿命の住まいを目指してゆきたいとしている。


図1 「 スーパーエイチアールシーシステム」を採用した超高層住宅「Wコンフォートタワーズ」


図2  54階建住宅の基準階略伏図


図3 54階建住宅の住戸略断面図

図4 フレキシブルな住戸ゾーンの躯体 図4 フレキシブルな住戸ゾーンの躯体

図5 「プレキャスト複合化工法」の基準サイクル工程

以上