2004年7月9日

 戸田建設(株)(社長:加藤久郎)と(株)前川製作所(社長:岩出 功)は、VOC(揮発性有機化合物)で汚染された土壌を「土壌凍結とガス吸引処理」を併用して、早く、安く、かつ安全、確実に浄化する促進工法(特許出願中)開発した。

 近年、重金属、VOC、油などの化学物質による土壌・地下水の汚染が大きな社会問題となり、2003年2月には「土壌汚染対策法」が施行され、同法に適合した浄化工法が必要となってきている。原位置における従来のVOCの浄化技術としては、ガス吸引や揚水ばっ気法、バイオレメディェーション(生物的浄化)、化学的分解法などがとられてきた。しかしながら、(1)ガス吸引や揚水ばっ気法の場合は、土壌浄化処理開始直後の高濃度時期には優れた浄化効率を示すが、低濃度レベルでは浄化効率が大きく低下して、処理期間の長期化(数ケ月~数年)や取り残しの問題、(2)バイオレメディェーションでは、浄化期間の長期化(数年以上)や生態系への配慮が必要、(3)化学分解法では、有害な副生成物による二次汚染や地中の地質・構造の判断を誤ると場外流出が生ずるなどの問題があった。

 この度、開発した浄化促進工法は、(1)汚染土壌を削孔した後、熱媒体通路とガス吸引通路とを有する凍結融解管を挿入し、その管に冷媒液を注入して管周辺の汚染土壌を凍結させ、土壌中に存在するVOC汚染物質を管の周辺に集積・濃縮させる。(2)次に管に温媒液を注入して凍結した土壌を融解する。このとき土壌粒子の間隙が増大し土壌の通気性が高くなり、汚染ガスを吸引しやすくなる。(3)融解後、管に付属するガス吸引管の内部を高負圧にして、ガス吸引通路にある複数の孔部から集積した汚染物質を瞬時に汚染ガスとして除去する。除去したガスは、活性炭に吸着させて回収し、無害の状態にして外気に排出するため、排出ガスによって大気を汚す心配もない。
本工法の特徴は、
(1)土壌中のVOC汚染物質を短期間に土壌環境基準値以下の低濃度レベルまで確実に浄化可能 (2)凍結融解による土壌の多孔質化により効率的な処理 (3)融解時に冷凍サイクルの蒸発・凝縮熱の有効利用により省エネルギー (4)原位置での処理 (5)二次汚染なく周辺環境を汚染しない (6) 汚染物質(重金属、油)の選択的集積により複合汚染に対応可能などである。

 今回実施した砂質層の実大実験では、従来のガス吸引法に比べて約1/2以下の短工期でVOC汚染物質を土壌環境基準値以下に除去できることを確認した。さらに浄化有効面積がガス吸引法に比べて約3倍になるためガス吸引管や削孔数を1/3に減らすことができ、約30%のコスト低減が見込めることが判明した。

 今後は、従来のガス吸引法では浄化が困難であったシルト質、粘土質の汚染土壌について本工法を適用してその有効性を検証するなどして、今年度中までに実用化を目指す方針である。


土壌凍結とガス吸引処理による促進浄化工法の概念図

本工法のメリット

以上