2004年11月11日

 戸田建設(株)(社長:加藤久郎)は、福島県の一般国道289号かし甲子トンネル(下郷工区)工事(戸田建設(株)・(株)フジタJV)(発注者 国土交通省東北整備局)でトンネル掘削時に発生する掘削ずりに重金属が含まれているため、遮水シートによる封じ込め盛土工事を施工している。

 那須火山帯に属する甲子山火口直下を掘削するため、トンネル掘削ずりに重金属が含まれている。事前調査ボーリングをトンネル延長(L=2,386.6m)上の6箇所で行った結果、「土壌汚染に係わる環境基準」を越えた重金属、鉛、セレンが含まれていることと、ヒ素、カドミウムが長期的に溶出する可能性があると確認された。また、地質縦断図より掘削ずりの約30%に重金属が含まれていることが推定された。

 トンネル掘削工事を進める上で、掘削したずりは短時間で「無対策岩」か「要対策岩」かを判定し、「要対策岩」と判定された掘削ずりは、土壌汚染対策法に準拠し、地域環境の保全を確保できる方法で処理している。「要対策岩」の対策方法としてコンクリートで密封するなど、数件の工法を検討し、確実性、地域条件、経済性、発生量などを検討した結果、道路盛土工事の路体の中に遮水シート(二重)で封じ込める工法を選定した。

 施工にあたって事前調査ボーリングよりも信頼度の高い判定が必要となるため、トンネル坑内からの水平ボーリング調査による判定(一次判定)と、トンネル掘削時に発生するずりによる判定(二次判定)の二重による判定試験で重金属の有無を確認している。判定方法は、国交省が主催する甲子トンネル技術委員会で決定した簡易溶出試験(PH7.0以下)と全硫黄含有試験(1.5%以上)により判定している。(写真(1)) また、重金属判定の結果が出るまでの間、降雪・降雨により、重金属が溶出するのを防止するために、屋根付き構造とした一次仮置場に一時仮置している。冬季は降雪により盛土工事ができないため、要対策岩を仮置できるように屋根付きの構造とした大容量の二次仮置場を設置している。(写真(2))


写真(1) 判定試験状況

写真(2) 二次仮置場

 盛土遮水構造は、ゴムシートによる二重構造とし、その上下と中間には、緩衝材シートを張り、さらにその上下に粘性土を50㎝張りつけ、盛土時の掘削ずりによる破損を防ぎ、有害物質の漏出を完全に遮断する構造としている。(図-1、写真③) また、盛土施工中の降雨対策として、盛土箇所全面をシートで覆いながら施工するなど、最善の処置を講じている。


図-1 標準断面図

写真(3) 遮水シート施工状況

 さらに、盛土中および完成後の重金属溶出の有無を確認するために、盛土最下端に排水管を設置し、排水を採取して重金属含有試験を行なっている。また、トンネル坑内の出水時の重金属含有の判定についても重金属対応型濁水処理プラントで重金属含有試験を行っている。(写真④)

写真(4) 濁水処理設備

 現在、重金属を含んだ掘削ずりと含有水が発生した場合に備えた処理施設の施工は完了し、対策は万全となっており、平成18年の貫通を目指し急ピッチで進んでいる。


写真(5) 掘削状況

工事概要
工事名称甲子トンネル(下郷工区)工事
工事場所福島県南会津郡下郷町大字南倉沢地内
発注者国土交通省東北地方整備局
施工者戸田建設(株)・(株)フジタJV
工事概要トンネル施工延長 L=2,387m
NATM工法:発破
仕上り断面積:50m2
掘削土量  :161,600m3
工期2003年2月11日~2006年3月24日

以上