2004年12月8日
西松建設株式会社
戸田建設(株)(社長:加藤久郎)と西松建設(株)(社長:國澤幹雄)とは共同で技術開発を進めているが、その中で山岳トンネルグループは、「割岩技術の開発」を行っている。本開発は、最近山岳トンネルで坑口周辺の民家や重要構造物との近接工事や坑口周辺の落石対策、またリニューアルを目的としたトンネル拡大工法などの事例が増え、騒音や振動への対策がより重要となってきていることを背景として、発破工法に代わる低振動・低騒音の割岩技術を開発することを目的とした。
平成15年に2回にわたる現場実験で性能を確認した後、本年7月に日本道路公団東九州自動車道長野トンネルに戸田・西松両社が開発した割岩技術(EG-Slitter)を現場適用した。
注)EG-Slitter: Elastic Guide Rod Slitter
割岩工法とは、切羽岩盤に自由面や単独孔を削孔し、これらを破砕の開始点あるいはガイドとして切羽岩盤から岩を順次切り出す工法である。発破工法と比較して掘削効率はかなり落ちるものの、低振動・低騒音が要求される施工条件で一軸圧縮強度100~200 MPaクラスの硬岩を掘削できる。
割岩工法の工程は、
- 自由面形成:連続孔により岩を起こす余地をつくる
- 割岩孔穿孔:一次破砕を行うための割岩孔をつくる
- 一次破砕 :岩を起こす
- 二次破砕 :岩を細砕する
戸田・西松両社が開発した割岩技術(EG-Slitter)はこのうち①自由面形成と、②割岩孔穿孔に関わる技術である。自由面形成・割岩孔の穿孔方法としては、単一孔連続方式と多連ドリル方式が用いられているが、EG-Slitterは単一孔連続方式で、トンネル工事用のドリルジャンボに簡易に装備できるアタッチメント方式である。EG-Slitterの特徴としては
(1)専用重機を必要としない
ドリルジャンボに専用装置を装着する。
(2)高剛性ロッドにより直進性を確保する。
パイロット孔への孔曲がりを防止する。
(3)ガイド管長が短い。
パイロット孔への挿入時のトラブルを軽減するとともに削孔時のクリコの排出を容易とする。
(4)伸縮機能を備えたガイド管を使用する。
パイロット孔・割岩(単独)孔削孔時にガイド管を取り外す必要がなく作業効率が向上する。
(5)部材の損耗率が小さい。
日本道路公団東九州自動車道長野トンネルは、亀裂が非常に少なく100~150MPaと非常に硬質な花崗閃緑岩が分布するため、標準の機械掘削方式での施工は困難であり、また通常の発破掘削方式については坑口周辺近くに民家が密集していることから、発破振動による騒音・振動が周辺環境に悪影響を与えるため使用できない。そのためトンネル坑口においては防音シェルター、トンネル外周への盛土による防音ドームを設置し、なおかつ3重の防音扉を計画している。このような厳しい条件下でのトンネル掘削に対し、振動騒音が少なく、効率的な掘削技術としてEG-Slitterを適用した。現場適用の結果、騒音規制値60dBを下回る値を得た。装置の作動性・操作性は良好で、効率的な自由面形成・穿孔能力があることが実証された。
今後両社はEG-Slitterをトンネル掘削工法としてだけではなく、制御発破工法との併用、トンネル拡大工法への展開を検討し、現場に役立つ技術として水平展開を図る。

EG-Slitter

自由面形成装置概要図

割岩パターン

