2005年1月27日
戸田建設(株)(社長:加藤久郎)は、焼却施設の大型煙突(高さ100m級。鉄筋コンクリート製)を解体する新しい工法「チムリス煙突解体システム」を松島工業(株)と共同で開発、現在札幌市の清掃工場解体工事の高さ100mの煙突の解体工事に適用している。この工事は、鉄筋コンクリート造の煙突解体としては日本最大級の工事である。
焼却施設の解体工事は、ダイオキシン類を伴う危険な作業であり、煙突はダイオキシン類濃度が高く、またその特殊な形状から安全な工事を進めるための技術開発が求められている。
この「チムリス煙突解体システム」は、ダイオキシン類を有している煙突に養生足場を全面にかけることなく、煙突上部開口だけを囲った昇降式ワークステーションと、煙突の内部だけで作業を行う工法で、煙突を安全に、確実に、短工期、低コストで解体するスマートな工法である。このシステムは、次の5つの要素技術で構成されている。(図1参照)
(1)昇降式構台
(2)無人化除染ロボット
(3)無人化耐火レンガ解体ロボット
(4)無人化コンクリート解体機械
また、現在解体中の煙突ではこのシステムと併用して、「ICタグ管理区域安全管理システム」、「TO-DXNカットシステム(排水処理)」、「TO-HM2無害化システム」を採用している。
各要素技術の概要は
(1)昇降式構台(写真1参照)
通常、煙突解体工事は工事中にダイオキシン類が周囲に飛散しないように管理区域として煙突を足場で前面を覆い、シート、パネルなどで区画しておこなう。しかし100m級の大型煙突では安全また工期上、全面足場を使用することは非常に困難となる。この問題を解決するために、地上部で組んだ昇降式構台を2本のマストで支持し、昇降するシステムを採用した。1.8mのマストを下から順次継ぎ足し、ジャッキアップすることによりワークステーションを上昇させ、煙突頂部にセットする。この構台は、煙突の解体に伴い上昇とは逆に1.8mのマストを撤去しながら一緒に下降する。この構台内部での作業の役割は以下の2点がある。
- 煙突上部開口の蓋をする区画養生機能
- 煙突内部で作業する各種ロボットの吊り下げクレーン機能(吊り荷荷重6t)
これは、耐火レンガ表面に付着したダイオキシン類を高圧水により除染(除去)する遠隔操作式のロボットである。古い煙突内部の耐火レンガは劣化しており、煙突内部で作業員が作業を行うと崩壊の可能性があり、非常に危険である。そのため、無人化ロボットを吊るし、作業部位をロボットのカメラで映し、煙突外部でそのモニター映像を見ながら操作を行う。
(3)無人化耐火レンガ解体ロボット
上記の除染ロボットの先端アタッチメントをブレイカーに取り替えることにより、内部の耐火レンガを解体するロボットである。操作方法は除染作業と同様である。
(4)無人化コンクリート解体機械(写真3参照)
昇降式構台のクレーンから吊った状態で、煙突コンクリート上部に十文字の桁を下部に付けたクラッシャー解体重機を乗せ、煙突のコンクリート躯体を解体しながら、昇降式構台と一緒に下降する。コンクリートの厚さは850mmまで解体可能である。
その他、安全に解体工事をおこなうため、上記「チムリス煙突解体システム」と併用し、煙突専用ではないが、本工事では以下のシステムも採用している。
- 「ICタグ管理区域安全管理システム」
西松建設(株)との共同研究によるもので、ヘルメットに内蔵したICタグ(*1)をつけて管理区域(*2)内へのゲートを通過すると自動的に作業員の管理を行うことができるシステムである。電気錠と連動し、登録していない部外者は危険な管理区域内に入れない仕組みを有している。 - 「TO-DXNティーオーディーエックスエヌ カットシステム(排水処理)」
煙突の除染作業によって回収したダイオキシン類を含んだ排水を処理し、水の環境基準である1pg-TEQ/リットル以下に無害化するシステムである。凝集沈殿方式と遠心分離機により低濃度に落とした排水を限外ろ過膜フィルターと特殊活性炭により無害化を行う。このシステムはダイセン・メンブレム・システムズ(株)との共同開発である。 - 「TO-HM2無害化システム」
ダイオキシン類を大量に含んだ残灰や、排水処理から出てきた脱水ケーキを薬(ダイオカット)と混ぜ、400℃の高温で脱塩素方式によりダイオキシン類を無害化するシステムである。このシステムは、阪和興業(株)、三菱マテリアルテクノ(株)、ミヨシ油脂(株)との共同開発である。
適用現場の概要
作業所名:厚別清掃工場解体工事
場所:北海道札幌市厚別区
発注者:札幌市
煙突構造:鉄筋コンクリート造
煙突規模:高さ100m。直径4.5~7.7m
煙突解体期間:2004年5月~2005年3月(現在地上約25m付近まで解体済み)
焼却炉能力:600t/日
※1 管理区域:有害なダイオキシン類を扱う清掃工場の解体工事などでは、その工事を行う際に有害物濃度を計測し、その濃度の濃さに合わせて第1管理区域から第3管理区域まで設定し、外部と隔離をした状態で工事を行う。
※2 ICタグ:超小型のIC(集積回路)チップと、無線通信用アンテナを組み合わせた非接触型のカード

図1.「チムリス煙突解体システム」システム構成図

写真1.適用状況

写真2.無人化除染・耐火レンガ解体ロボット(煙突内への投入状況)

写真3.無人化コンクリート解体機械

写真4.煙突内部除染状況
