2005年3月7日

 戸田建設(株)(社長:加藤久郎)は、40階~60階建の超高層住宅を対象とした「超高強度プレキャストRC柱」を開発し、構造実験により、その優れた耐震性能を実証した。

近年、都市部では30階~40階程度の超高層住宅が数多く建設されており、最近では50階を越えるような、さらなる超高層化に対するニーズが高まっている。

 超高層住宅では、高強度コンクリートの実用化により、風揺れに強く、経済的なRC造が採用されるケースが多くなってきており、50階を越える超高層住宅では、階数の増加に伴い、必要なコンクリート強度が高くなり、下層階の柱にはFc80~100N/mm2程度の超高強度コンクリートを用いることになる。当社では、45階建、54階建の超高層住宅で、Fc80~100N/mm2の超高強度コンクリートを用いた超高強度RC柱を開発し施工してきた。特に1階の柱には、超高強度コンクリートを帯筋で拘束するとともに、外周を鋼管で拘束することにより、ダブルコンファインド(二重拘束)コンクリートとして、脆性的な破壊を防止し、耐震性を向上させた独自の「鋼管RC柱」(特許出願中)を適用した。

 超高強度コンクリートは、現場で柱に打ち込むため、生コンプラントの製造スケジュールや建設地の天候などにより、実際の施工現場への供給には制約が生じ、安定した超高強度RC柱の建設が求められてきた。

 そこで、超高強度コンクリートをプレキャスト化するとともに、現場打ちの「鋼管RC柱」の長所を生かした「超高強度プレキャストRC柱」(図1)を開発した。

 この「超高強度プレキャストRC柱」は、従来の柱に比べて、以下のような特長がある。

  1. プレキャスト化により、現場打ちに比べて、安定的に効率良く現場に供給できる。
  2. RC柱に比べて、帯筋外側のかぶりコンクリートが鋼管により拘束されているため、かぶりコンクリートの圧壊による耐力低下を抑制できる。
  3. 鋼管コンクリート柱(CFT柱)に比べて、鋼管は曲げモーメントや軸力を負担することはなく、コンクリートの拘束だけに用いており、さらに、帯筋との二重拘束のため、鋼管の厚さを薄くすることができる。
  4. 繊維混入の超高強度コンクリートに比べて、鋼管が火災時の外部拘束材として作用するため、爆裂抑制のための繊維混入が不要である。
  5. 耐震補強の鋼管巻き柱に比べて、鋼管はコンクリートの型枠と兼用して、コンクリートを打設できるので、鋼管内側の隙間が無く、グラウト材注入が不要である。

 「超高強度プレキャストRC柱」には、鋼管の有無、あるいは鋼管の取付け方法の違いにより、下記の3タイプ(図1、図2)があり、要求される柱の強度、変形能力に応じて、最適なタイプを経済的に選択できる。

  1. プレキャストRC柱     :鋼管の無いプレキャストRC柱
  2. プレキャスト鋼管RC柱   :板厚が同一の鋼管を用いたプレキャストRC柱
  3. プレキャスト補強鋼管RC柱 :板厚が異なる補強貫通ボルト付き鋼管を用いたプレキャストRC柱

 「超高強度プレキャストRC柱」のタイプⅠについて、コンクリート圧縮強度が80~120N/mm2となる柱試験体を用いた構造実験を当社技術研究所にて実施した(図3)。得られた実験結果から、超高強度プレキャストRC柱が優れた耐震性能を保有することを検証した(図4)。
なお、「鋼管RC柱」の優れた耐震性能は、既に構造実験により検証しており、鋼管の拘束効果により曲げ圧縮域の劣化が抑制され、部材角1/20まで荷重低下のない優れた変形性能を確認している。

 この独自の「超高強度プレキャストRC柱」の開発により、従来のCFT構造に比べて、構造コストを約30%程度縮減でき、また、これまでの高強度コンクリートを用いた現場打ち柱に比べて、安定的な製造供給が可能になる。

 今後は、40階~60階程度の超高層住宅に対して、超高強度コンクリートを用いた「超高強度プレキャストRC柱」を提案して、高性能RC造超高層住宅「スーパーエイチアールシーSuper HRCシステム」を積極的に展開してゆきたいと考えている。


図1 「超高強度プレキャストRC柱」の構造模式図


図2「プレキャスト鋼管RC柱」の断面図


図3 「超高強度プレキャストRC柱」の構造実験


図4 「超高強度プレキャストRC柱」の荷重―変形関係

以上