超高強度オール・プレキャストRC工法を開発
2005年3月29日
戸田建設(株)(社長:加藤久郎)は、40階~60階建の超高層住宅を対象とした「超高強度オール・プレキャストRC工法」を開発し、構造実験により、その優れた耐震性能を実証した。
近年、都市部では30階~40階程度の超高層住宅が数多く建設されており、最近では、40階を越えるさらなる超高層化や柱スパンのワイド化に対するニーズが高まっている。
超高層住宅では、高強度コンクリートの実用化により、風揺れに強く、経済的な鉄筋コンクリート造(RC造)が採用されるケースが多くなってきた。40階を超える超高層住宅では、階数の増加や柱スパンの拡大に伴い、必要とされるコンクリート強度が高くなり、圧縮強度が60N/mm2を超える超高強度コンクリートを用いることになる。
戸田建設では、100N/mm2クラスの超高強度コンクリートを用いた超高強度RC造を開発し、54階建・45階建の超高層住宅において既に実用化してきた。
超高層RC造住宅では、柱、梁、床などにプレキャスト部材を用いたプレキャスト工法を採用して、高品質な構造体を短工期で実現してきた。しかし、超高強度コンクリートを用いる柱、あるいは柱と梁の交点となる柱梁接合部は、配筋が複雑で地震時に作用する応力が大きいため一体化が難しく、これまで現場打ちRC造としてきた。
一方、超高強度コンクリートは、生コンプラントの製造スケジュールや建設地の天候などにより、実際の施工現場への供給には制約が生じるため、安定した超高強度RC造骨組の建設が求められてきた。
そこで、超高強度コンクリートを用いた柱や柱梁接合部も含めて、すべての構造部材をプレキャスト化した「超高強度オール・プレキャストRC工法」を開発した。
本工法では、柱にはすでに開発済みの「超高強度プレキャストRC柱」(特許出願中)を用い、柱と梁の交点となる柱梁接合部には、梁と一体化した「梁接合部一体型プレキャスト部材」(図1)を用いる。この部材では、柱梁接合部には超高強度コンクリートを、梁には高強度コンクリートを用いて、異なる強度のコンクリートを使い分けて、一つのプレキャスト部材を製造することに特徴がある。
「梁接合部一体型プレキャスト部材」の柱梁接合部には、下階の柱主筋を通すことができる貫通孔を設けている。また、この部材と下階のプレキャスト柱との間には、あき(柱目地)を設けており、この柱目地と柱梁接合部の貫通孔には、超高強度グラウト材を注入して、プレキャスト柱と梁接合部一体型プレキャスト部材を一体化する。特に柱梁接合部には地震時に大きな応力が作用するため、柱主筋と後から注入するグラウト材との一体性を確保することが重要である。そのため、地震時応力が非常に厳しくなる柱では、独自の工夫を加えた貫通孔や主筋の定着方法を用いることができる(特許出願中)。
「超高強度オール・プレキャストRC工法」の標準的なサイクル工程を図2に示す。まず「超高強度プレキャストRC柱」を建て込む。つぎに「梁接合部一体型プレキャスト部材」をプレキャスト柱の上に建て込み、続いて「大型段差スラブ」を建て込む。この大型段差スラブには、超高層スケルトン・インフィル住宅に対応した同社独自のプレストレスト・プレキャスト合成床スラブ(特許出願中)を用いることもできる。最後に床スラブと梁の上部のコンクリートを打ち込む。また、柱目地と柱梁接合部の貫通孔には、超高強度グラウト材を充填注入する。
「超高強度オール・プレキャストRC工法」を用いた骨組の水平加力構造実験を同社の技術研究所にて実施した(図3)。構造実験では、コンクリート圧縮強度が60~100N/mm2であり、縮尺が1/2程度の骨組試験体を用いた。試験体は、40階~60階建の超高層住宅の下層階を対象として、内部の柱と梁を想定した十字型骨組および外側の柱と梁を想定したト型骨組である(図4)。これらの実験から、本工法を用いた超高強度オール・プレキャストRC造骨組は、大地震時の厳しい応力の作用下においても、現場打ちRC造骨組と同等の強度と粘り強さを持ち、優れた耐震性能を保有することを検証した(図5)。
なお、「超高強度プレキャストRC柱」の優れた耐震性能は、既に構造実験により検証している。
この独自の「超高強度オール・プレキャストRC工法」の開発により、従来の工法に比べて、超高強度コンクリートの現場打設作業がなくなり、高所における配筋作業を省力化できるので、高品質なRC造骨組の安定的な構築作業が実現する。例えば、季節風や降雨など天候の影響を受けやすい40階~60階程度の超高層住宅においても、本工法の採用により、基準階の躯体サイクル工程を安定的に5日間程度とすることが可能になる。
今後は、40階~60階程度の超高層住宅に対して、超高強度コンクリートを用いた「超高強度オール・プレキャストRC工法」を提案して、高性能RC造超高層住宅「Super HRC (スーパー・エイチ・アールシー) システム」を積極的に展開してゆきたいと考えている。

図1 「超高強度オール・プレキャストRC工法」の構造模式図

図2「超高強度オール・プレキャストRC工法」のサイクル工程

図3 「超高強度オール・プレキャストRC工法」の構造実験
![]() (a)十字型骨組 |
![]() (b)ト型骨組 |

図5 「超高強度オール・プレキャストRC造骨組」の荷重―変形関係例
(十字型骨組:柱コンクリート強度 100N/mm2クラス)


