急曲線、複合地盤におけるシールドトンネルの施工
2005年10月14日
曲線区間50%、岩を含む複合地盤、小口径長距離掘削の実施戸田建設(株)(加藤久郎社長)は、大阪府河内長野市で大和川下流流域下水道天野川幹線(第6工区)管渠築造工事(戸田・海原JV 発注者:大阪府南部流域下水道事務所)を施工している。当工事はシールドトンネル工法(*1)による下水道工事であり、路線は農道と住宅地を通る曲線の多い狭い道路であるため、R=50m以下の曲線が20ヶ所存在する(図-1)。丘陵地帯のため、掘削する土質は岩・砂礫・砂・粘土と複雑な構成の地盤であり、岩盤強度は最大380MN/m2である。路線延長は2028mで、かつ下水道管の内径がφ1200mmと小口径であるため、厳しい施工条件の中での慎重な施工が求められた。
これらの条件を克服するためシールド掘進機には、最小曲線半径R=15mに対応できる中折れ装置に加え、掘進機の長さを30㎝短くしてよりスムーズに急曲線を施工できるスライド装置を装備した。(写真-1)岩盤を含む地盤を掘削するためのカッターは、土砂部対応型と岩盤部対応型の2タイプの面盤形状に地中で交換できる方式を採用した。掘削土砂の排土は通常ベルトコンベアを使用するが、小口径で急曲線の多い路線では対応できないため土砂をポンプ(*2)で圧送し、配管を曲げて搬送する方式を採用した(写真-2)。一方、岩盤部の土砂搬送はポンプに岩片が詰まる可能性があるため、ベルトコンベアを採用することとした。

図―1 路線平面図
![]() 写真-1 シールド掘進機(土砂掘削用カッター) ※中央部に中折れ装置及びスライド装置装備 |
![]() 写真-2 土砂圧送用ポンプ装備 ※中央部に中折れ装置及びスライド装置装備 ※口径φ150mm圧送ポンプ |
急曲線の施工については、スライド装置(*3)を使用することなく、急曲線が左右に連続する区間も中折れ装置のみで掘進管理ができた。また、連続する急曲線区間での土砂圧送ポンプによる掘削土砂も順調に搬送できた。岩盤掘削区間では、岩盤対応型のカッターに交換し、ベルトコンベアによる排土を行うことにより掘進した。しかし、土砂部から岩盤部への変化区間では、巨礫(φ200~300mm)が多く出現し、カッタービットの欠片・金属片などが確認されたため、66m掘削した段階でカッタービットの点検を行なった。その結果、カッタービットの欠損・欠落、ローラーカッターの幅止め金具欠落、土砂撹拌棒の破損など掘削機構に大きなダメージを受けていた。部品の交換・修理を行い再発進し、発進立坑から950m掘削した位置で、土砂掘削用のカッタービットに再度交換した。交換時の点検では強化型先行ビットの磨耗は激しく、使用限界を大幅に超えるまで磨耗していた。その他のビットは、岩盤掘削初期に交換していたため想定磨耗量以内であった。土砂部でのカッタービットの磨耗についても想定磨耗量以内であり、順調に掘進できた。しかし、固結粘土層の掘削では開口率不足は否めず、面盤への粘性土付着を招き、掘進スピードの低下に繋がった。このように、ビット交換・排土設備交換・面盤清掃などを行い、複合地盤を克服し無事貫通することができた。曲線部の精度は、最大48mmの離れと規格値以内であった。このように数多い急曲線をこなせた理由として、余裕を持った中折れ装置と土砂圧送ポンプの採用、坑内空間を確保しこまめな測量と指示、を行ったことと考える。
同社では、本工事で培った経験を活かし、今後の急曲線工事の施工管理に反映させる。
*1シールドトンネル工法
シールド掘進機を使用してトンネル方式で地中を掘削する。掘削した部分にはセグメントと呼ばれる支保工を組み立て、地山の崩壊を防止しながら掘削する工法
*2土砂圧送ポンプ
泥状の土砂(生コンクリートの様な性状)に圧力を掛けて移送できるポンプ
*3スライド装置
後胴を油圧ジャッキで前後にスライドさせる装置
工事概要
| 工事名称 | 大和川下流流域下水道 天野川幹線(第6工区)下水管渠築造工事 |
| 工事場所 | 大阪府河内長野市小山田町地内 |
| 発注者 | 大阪府 南部流域下水道事務所 |
| 施工者 | 戸田建設・海原建設共同企業体 |
| 工期 | 2001年12月19日~2006年3月15日 |
| 工事概要 | 下水道管渠 路線延長 L=2027.89m 切羽作業延長 L=2019.73m セグメント外径 φ1800mm 二次覆工延長 L=2019.73m 仕上り内径 φ1200mm 立坑築造工 7箇所 人孔築造工 4箇所 地盤改良工 1式 |


