2005年11月29日

戸田建設(株)(社長:加藤久郎)と早川ゴム(株)(広島県福山市 社長:早川雅則)は、2003年に新しいコンクリート湿潤養生マット「アクアマット」を開発し、施工実績を伸ばしていたが、従来湿潤養生が難しいとされていた鉛直面に対しても湿潤養生が可能な「アクアマットRタイプ」(以下「アクアマットR」とする)を用いたコンクリート鉛直面湿潤養生システムを開発し、今回実際の現場で採用した。採用したのは静岡県発注の国道473号線橋梁整備9号橋上下部工工事(ドーピー・戸田共同企業体)の高さ27.4m、断面積約24m2の下部工。高さ4.5mを1ロットとした6ロットの橋脚側面の全周を湿潤養生している。

コンクリートは打ち込んだ後、乾燥によるひび割れ発生の防止と所要の強度発現を目的として表面を湿潤状態に保たなければならない。このため従来は散水を行ったりスポンジタイプの養生マットを用いることにより湿潤養生していたが、乾燥が早く湿潤状態を保つことが困難であった。また、構造体の斜面や鉛直面の湿潤養生は一部工種を除いては実現が困難な状況であった。

アクアマットRの特長として

  1. アクアマットRは、保湿材料として水膨潤ウレタンを使用した養生マットである。
    水膨潤ウレタンは水を含むことが可能で、一度取り込んだ水は圧力や重力によって排出されにくく、徐々に放散される。
  2. アクアマットRは、不織布に水膨潤ウレタンを点在させた保水層と、フィルムを用いた被覆層の2層で構成され、水膨潤ウレタンに取り込まれた水が直射日光や高温によって蒸散しにくく、斜面や鉛直面に敷設した場合でも養生水が下部に抜けることが少ないように工夫されている。
  3. 1平方メートル当たり800mlの初期保水量を確保しているため、養生対象のコンクリート表面に敷設するだけで、途中で散水を行うことなく長期間湿潤性を保つことができる。
  4. 厚さは1.8mmで、従来のスポンジタイプ養生マット(厚さ10mm)に比べ薄く、取り扱いが容易である。
  5. アクアマットRは、対候性などの耐久性も従来のスポンジタイプ養生マットに比べて優れている。
  6. アクアマットRは、10回以上の転用が可能であるため、コスト的にも従来の養生マットと同等程度かそれ以下である。

鉛直面湿潤養生システムの特長としては

  1. 鉛直面湿潤養生システムは、アクアマットRと給水装置および給水用特殊ホースを組み合わせたものである。アクアマットR上端部に設けた袋状部分にホースを挿入し、型枠脱型後の構造体側面に配置した後、給水装置から適宜通水することでアクアマットR全面を十分に湿潤させることができる。
  2. アクアマットRをコンクリート側面へ設置する前にあらかじめ吸水させ、構造体に設置することも可能で、この場合は設置直後から湿潤養生ができ、給水量の低減にもなる。
  3. アクアマットRで覆われた構造体表面は乾燥することなく常に湿潤状態が保たれる。コンクリート標準示方書に示される材齢5日まで程度の標準的な養生期間であれば、あらかじめ吸水させたアクアマットRを設置するか、当初1回のみの通水でよいが、気象条件や養生期間によっては通水回数を増やすことで湿潤状態が保たれる。
  4. アクアマットRの構造体側面への設置は、アクアマットR上下端にあるハトメと構造体のセパレータ孔や上部の型枠を利用して簡単に行える。
  5. 構造体表面の湿潤状態は、カップ式湿度計による構造体表面の湿度計測によって管理できる。

今後同社は、高架橋梁スラブなどの水平面の湿潤養生に採用が増えると予想し、水平面用の廉価タイプ「アクアマットSタイプ」もラインアップに加えたが、今回採用された橋脚やトンネル二次覆工のような水平面以外の従来積極的な湿潤養生が困難であった構造体に対する「アクアマットR」の採用も推進していく。

【図】アクアマット製品形態
図-1 アクアマット製品形態
【写真】国道473号線橋梁整備9号橋上下部工工事アクアマット設置状況
国道473号線橋梁整備9号橋上下部工工事アクアマット設置状況
【写真】国道473号線橋梁整備9号橋上下部工事状況
国道473号線橋梁整備9号橋上下部工事状況
【写真】鉛直面湿潤養生システム模式図
鉛直面湿潤養生システム模式図
以上