2005年12月13日

戸田建設株式会社
西松建設株式会社

 新たな公共投資が減少する中で、既存の社会資本を「大切に、長く」供用していくことが求められている。限られた予算で既設構造物の長寿命化を図っていくためには、効率的、効果的な補修技術の開発が必要となる。

 戸田建設(株)(社長:加藤久郎)と西松建設(株)(社長:國澤幹雄)では、平成11年10月の業務提携以来、共同研究テーマの一つとして、コンクリート構造物の長寿命化を図ることを目的とした維持管理技術の開発を進めている。
今回開発した技術は、既設コンクリート構造物の劣化に伴う、コンクリート片の剥落防止を目的とした「PPネットライニング工法」である。

 本工法は、コンクリート構造物表面に新しいポリプロピレン製の3軸繊維メッシュをエポキシ樹脂で含浸・接着させることで、コンクリートの劣化に伴う剥落を防止するものである。この新しい3軸繊維メッシュを採用することで、高い押抜き性状の確保と施工性の向上、また、工事費の低減が可能となった。

 本工法の特長は以下の通りである。

  1. 高い押抜き性状の確保
    繊維メッシュとして新しいポリプロピレン製の3軸繊維メッシュを採用した(資料1参照)。本繊維メッシュの表面に特殊処理を施し、含浸樹脂との付着性能を向上させたことで、高い押抜き性状を得ることができた(資料2参照)。

  2. 施工性の向上
    従来の合成繊維メッシュでは、施工時の構造物隅部への追随性が悪く、樹脂の含浸作業時において、繊維メッシュ自体が構造物表面から浮いた状態になるなどの剥離や施工性の課題があった。本繊維メッシュは繊維の厚さを従来の1/3(メッシュ本体部で0.20~0.25mm、メッシュ交点部で0.50~0.60mm)にしたことで現場での曲げ加工が容易で、構造物隅部への追随性に優れ、施工性が向上した(資料3参照)。

  3. 工事費用の低減
    繊維メッシュの厚みを薄くしたことで、施工性が向上したことに加え、含浸樹脂の使用量が抑えられ、従来工法と比較して30%程度の工事費低減を可能にした。

  4. 適用箇所
    高架橋(高欄、張出スラブ、主桁、橋脚)を主なターゲットとし、擁壁などの既設の土木構造物、建築構造物の外壁およびスラブなどの剥落防止に適用できる。

 現在、戸田建設(株)技術研究所内(茨城県つくば市)で実証施工を行い、長期暴露試験を実施している。
今後、道路(高速道路各社など)、鉄道(JR東日本など)系発注者へ提案していく予定である。

【写真】ポリプロビレン製の三軸繊維メッシュ
資料-1 ポリプロピレン製の三軸繊維メッシュ
【図】押抜き試験結果
資料-2 押抜き試験結果
【写真】コンクリート構造物隅部における曲げ加工の容易さ
資料-3 コンクリート構造物隅部における曲げ加工の容易さ
(戸田建設(株)技術研究所内実証施工)
以上