構造物のコンクリート品質を直接検査
2006年2月2日
戸田建設(株)(社長:加藤久郎)は、独立行政法人土木研究所(理事長:坂本 忠彦)と共同で、構造物のコンクリート強度を直接調べる方法として、「ボス供試体を用いたコンクリート構造物の品質検査方法」の共同研究を平成14年度から進め、実用化に目処をつけた。

ボス供試体の概念図
最近、コンクリート構造物は、地球環境問題や資源の有効利用などから高品質・長寿命化が強く望まれており、実際に構築した構造物のコンクリート強度が設計通りの品質を保有しているか確認する検査技術の開発が課題となっている。
コンクリート構造物の品質は、生コン工場でのコンクリートに使用する材料や配合条件、現場でのコンクリートの打設方法や養生等などの施工条件、気象条件などによって強度の発現が異なる。これに対して現場では生コンの受け入れ時に別途成形した供試体の強度によって、実際に施工した構造物のコンクリートの品質が評価されている。これは、構造物から直接検査を行う場合、コア供試体※1採取などによる試験が必要であり、採取後の補修や劣化に対して弱点となることを避けるために従来より行われてきた品質確認方法である。
ボス供試体による強度試験方法は、コンクリート打設前にコンクリート構造物の型枠に、あらかじめボス型枠を取り付けておき、構造物の型枠にコンクリートが打設されると同時にボス型枠にもコンクリートが充填され、凸部状の角柱供試体が成形される。このボス供試体を所定の管理日にコンクリート構造物から採取し、圧縮強度試験によってコンクリート強度を確認するものである。
![]() 構造体の型枠へのボス型枠の取付状況 |
![]() ボス供試体の採取方法 (構造体型枠撤去後) |
![]() 成形されたボス供試体 (ボス型枠撤去後) |
![]() ボス供試体の圧縮強度試験 |
構造物から採取したボス供試体は、加圧面を研磨しないでそのまま圧縮強度試験をすることができる。また、材齢1日から任意の材齢で強度を求められることが確認されている。実大施工実験および現場適用実験において、コア供試体の強度とボス供試体の強度を比較したが、コア供試体の強度とボス供試体の強度は、非常に相関性が高く、コンクリート構造物からコア供試体を採取しなくても、ボス供試体により構造物そのものの強度を得ることができる。
![]() 実大試験部材による検証実験 |
![]() 現場での適用実験 |
今回の共同研究では、強度試験のほかに、ボス供試体を用いたコンクリート構造物の耐久性試験方法※2として、コンクリートの中性化深さの試験および、飛来塩分の浸透深さの試験を実施したが、いずれの試験においても、ボス供試体が耐久性試験用供試体として十分活用できることが確認できた。
現在、独立行政法人土木研究所と戸田建設は、国土交通省発注の橋梁現場において、本試験方法によるコンクリート構造物の強度試験の適用実験を重ねているが、実構造物の施工においても十分適応できる品質管理手法であることを確認している。今後は、コンクリート構造物の品質管理手法として現場への実用化を目指し、ボス供試体を用いたコンクリート構造物の圧縮試験方法のマニュアル策定へ向け準備を進めていく。
*1コア供試体
コンクリート用コアドリルにより、コンクリート構造物から切り取られた円柱供試体。従来、用いられてきたコンクリート構造物の品質を直接的に調べる方法である。コア採取には、構造物の損傷や配筋の切断、コア採取後の補修方法、試験方法の簡便性など、いくつかの問題があり、通常の管理としてはほとんど活用されていないのが現状である。
*2ボス供試体を用いたコンクリート構造物の耐久性
試験方法
400×450×100のコンクリート板(写真中、構造体と表記)にボス供試体を取付けたものを供試体とし、鉄筋コンクリートを劣化させる、炭酸ガス(中性化)及び飛来塩分による促進暴露試験を行い劣化物質のコンクリート中への浸透度合いを測定した。どちらの試験でも構造体部分とボス供試体部分では、同等の測定結果を得た。

構造体とボス供試体






