2006年3月9日

実物大の供試体を組み立てて施工上の諸性能を公開試験で実証  ~ 新形式の連続立体高架橋構築法で工期を1/2に短縮 ~

戸田建設株式会社
ジオスター株式会社

戸田建設(株)とジオスター(株)は、(財)鉄道総合技術研究所の技術指導のもとで共同開発したプレキャストアーチ式高架橋「すいすいSWAN工法」の実物大組立性能確認公開試験を3月8日および9日に実施した。 「すいすいSWAN工法」は、3種類のプレキャスト部材でアーチ式高架橋を構築する新技術であり、大幅な工期短縮を実現するもの。既に設計方法などの技術体系の整備を完了しており、今回の実物大供試体を用いての試験により組み立て性能を実証したことで、本工法の技術整備をほぼ確立できた。今後、同工法の本格的な適用を睨み、関係方面に強くアピールしていく考えだ

「すいすいSWAN工法」は、フルプレキャストで構築しやすい高架橋構造とはどんなものかという発想から生まれた工法である。従来の梁・スラブ一体構造に対して、開腹型アーチ橋形式を応用したスラブ・アーチ梁の分離形式とすることで、フルプレキャスト化による急速施工を実現し、アーチ梁の曲線美が映えた景観配慮型の新しい高架橋形式である。 本工法の大きな特徴は、プレキャスト部材の分割法にある。基礎杭および地中梁の施工は場所打ちコンクリートであるが、地上部はすべてプレキャスト部材を組み立てて構築する工法であり、運搬上の制約から短辺幅3.0m・重量30t以下となるように、1.スタンド、2.半割アーチ梁、3.横梁・スラブの3種類の部材で構成する。スタンド部材は、従来工法における柱の役割を果たしアーチ梁を支持する部材である。半割アーチ梁はアーチ形状が有する耐荷性能と柔らかな曲線が醸し出す景観特性を併せもつ、本工法の最も象徴的な部材であり、組立・接合性を考慮して左右の半割アーチを1つのピースとして製作したものである。横梁・スラブ部材は、橋軸直角方向の剛性確保を確保するための横梁とスラブの役割を担い、アーチ梁上に設置する。各部材どうしの接合は、鉛直方向の接合にはスリーブ継手、水平方向の継手にはループ鉄筋継手の採用を前提としており、両継手工法とも実績豊富で信頼性の高い接合方式である。

「すいすいSWAN工法」の組み立て性能を確認するために、実物大の供試体を製作し、その施工性能確認試験を実施した。試験の規模は、鉄道高架橋における複線断面をイメージした延長30m、幅9.5m、高さ7m、1スパン長10mをモデルとした。供試体は試設計に基づき必要となる配筋を満たしたものを製作し、構造体を構成する3種類のフルプレキャスト部材の製作精度を確認した。されに各部材の架設および部材同士の接合を実施し、施工精度および施工時間が所期の目標をクリアできることを実証した。公開試験では、延長30mのうち約半分の完成状況を見ていただくとともに、アーチ梁および横梁・スラブの2種類の部材について、その架設状況を実演した。

従来の高架橋建設工事では、経済性などの理由から柱・梁・スラブより構成される連続立体ラーメン構造(ビームスラブ形式)を場所打ちコンクリートにより構築するのが一般的であり、その工期短縮は大きな課題のひとつであった。この改善策のひとつとしてプレファブ化が有効な手段であるが、埋設型枠などを採用したハーフプレキャスト方式による限定的な省力化や工期短縮にとどまるのが実状であった。また近年では景観配慮の面から曲線的な形状特性を採用する計画事例も増えきている。工期短縮と景観性の両立を目指す「すいすいSWAN」のような工法が今後の大きな潮流になるものと考える。

すいすいSWAN工法:実物大組立性能確認試験状況
<すいすいSWAN工法:実物大組立性能確認試験状況>

以上