2006年4月11日


戸田建設(株)(社長:加藤久郎)は、千葉県松戸市で江戸川~古ヶ崎線(仮称)φ1200mm配水本管布設工事(その2)(戸田・熊谷・飛島JV 千葉県水道局発注)を施工している。施工は、(仮称)江戸川浄水場と既設の古ヶ崎浄水場を結ぶ全長4.9kmの配水本管(φ1200mm)の整備計画のうち、上矢切~古ヶ崎までの区間3,684.9mを泥水式シールド(*1)工法により掘進する。掘削外径は2,146mm、セグメント内径は1,850mm、セグメント巾は1,000mmである。この工事は、鉄道、道路や地下埋設物の制約により途中に中間立坑を設けることができないため、長距離施工となり、慎重な施工が求められた。

事業概要位置図
事業概要位置図

この条件を克服するためシールドマシンのカッタービットの材質は耐摩耗性に優れた新素材ビット(E3種シンターヒップ処理)(*2)を採用し、特殊先行ビットと先行ビットはカッタービットより35mm高く取り付けて長距離対策とした。

また、掘進管理では、同社の保有特許である省面積立坑システムの1技術であるリアルタイム切羽安定管理システム(*3)を採用し、地山の土質の変化に素早く対応した。長距離施工における掘進サイクルタイムを確保するために後続台車、中継ポンプを改造小型化し、通常、1リング/回のセグメント運搬を2リング/回運搬とし、サイクルタイムの低減を図った。さらに長距離施工における坑内でのバッテリーロコと入坑者の通行の安全性を高めるために、PHSによる入坑管理システムと戸田建設・西松建設で共同開発したICタグ(*4)を使用したバッテリーロコ運行管理システムを採用した。

バッテリーロコ運行管理システム
バッテリーロコ運行管理システム

シールド一次覆工は、2004年10月4日から鏡切りを開始し、大きなトラブルもなく順調に進み、計画より2ヶ月早い2005年10月18日に無事故で所定の位置に到達した。1日の平均掘進量は16mであり、また最大月掘進量は536m/月を記録した。 長距離施工によるビットの摩耗は、ビット摩耗量10mm、15mmを検知できる摩耗検知ビットにより測定したが、到達まで検知されなかった。これは砂質土に対する想定摩耗量を算定した掘進スピード25mm/minに対して、実際には適正な掘進管理により平均掘進スピード46mm/minで掘進できたためである。

シールドの掘進精度については、坑内出来形管理基準値(水平、鉛直±100mm)以内で、3,325m付近で行ったチェックボーリングにより地上との測量チェックを行った結果、許容誤差100mmに対して水平41mm、距離33mmの誤差であった。

本工事では、小断面、長距離施工に対して、ビットの磨耗低減、坑内のセグメント運搬の安全性確保、高速な施工、施工精度の確保など、良好な施工結果を得ることができた。なお、本工事で使用したバッテリーロコ運行管理システムはトンネル工事用に改良し、現在長距離(5316m)のTBM工事(*5)に適用中である。

戸田建設では、本工事で培った小断面・長距離工事の経験を活かし、今後のシールド工事やトンネル工事の計画・施工管理に反映させる予定である。

左・泥水式シールド機、右・坑内
左・泥水式シールド機、右・坑内

*1 泥水式シールド
泥水式シールドは切羽(地山掘削面)を泥水で保持・安定させながら掘り進む工法である。

*2 新素材ビット
JIS規格のE-3材に真空処理(Sinter-Hip処理)して高靱性を兼ね備えた特殊合金チップを取り付けたビット

*3 リアルタイム切羽安定管理システム
高分子を主体とした特殊薬剤を用いて、粘性主体の切羽安定管理をはかるシステム

リアルタイム切羽安定管理システム
リアルタイム切羽安定管理システム

*4 ICタグ
ICタグは、情報を記録しておく小さなICチップを内蔵した電子媒体で、数cmから数10cm離れたアンテナからデータを読み出すことができる。一般に「無線ICタグ」、「無線タグ」、「RFID(Radio Frequency ID)タグ」と呼ばれる。

*5 TBM工事
TBM工事は、山岳トンネルを機械式のトンネルボーリングマシンで掘進する工法である。

以上