2006年4月26日

新たな技術で新幹線トンネル直上部を低振動で掘削

戸田建設(株) (社長:加藤久郎) と西松建設(株) (社長:國澤幹雄)は、重要構造物との近接施工等において効果を発揮する低振動・低騒音での掘削が可能な割岩工法において、従来工法に比べ自由面の形成速度を約10%向上させた自由面形成装置『EG-Slitter(山岳トンネルの割岩技術)』を共同開発し、2月6日に社団法人 日本建設機械化協会から建設技術審査証明を取得した。
また、西松建設が施工する国土交通省発注のトンネル工事に本技術を適用し、供用中の新幹線トンネルと低土被りで交差する区間の低振動・低騒音での掘削に効果を発揮した。

EG-Slitter(Elastic Guide-rod Slitter)は,トンネル工事用ドリルジャンボのガイドセル先端部に簡易に装着できるアタッチメント方式の自由面(連続孔)形成装置で、以下の特徴を有する。
(1)専用重機を必要としない
 ドリルジャンボに専用装置を装着する
(2)高剛性ロッドにより直進性を確保する
 パイロット孔への孔曲がりを防止する
(3)ガイド管長が短い
 パイロット孔への挿入時のトラブルを軽減するとともに削孔時のクリコの排出を容易にする
(4)伸縮機能を備えたガイド管を使用する
 パイロット孔・割岩(単独)孔削孔時にガイド管を取り外す必要がなく作業効率が向上する
(5)部材の損耗率が小さい

今回、西松建設が施工した既設の新幹線トンネルと最小離隔15.5mで上越し交差するトンネル現場で、新幹線トンネルへの振動の影響を最小限に抑えるために、通常の発破工法では振動の管理基準値1kineを超えることが予測される200m区間で4ヶ月間にわたり連続適用した。その結果、機能性と耐久性の面でも十分な性能を有していることが実証された。
なお、本区間を施工するにあたって、以下に示す4つの課題を解決する必要があった。
1.約150MPaに達する硬岩の花崗岩が掘削可能であること。
2.掘削振動による既設新幹線トンネルへの影響を極力抑えること(管理基準値1kine以下)。
3.新幹線トンネル直上影響区間の39m区間は、特に営業時間外の4時間しか施工できないこと。
4.工期を遅らせないために、進行を確実に見込める施工方法を選定すること。
そこで、上記条件、特に工期的な制約を満足する新しい施工方法として、「TBM+割岩工法+拡幅による迎え掘り工法」を提案、適用した。本工法は、短区間ではあるが高速施工が可能なTBM(φ4.5m)を適用して先進導坑を掘削した後、本区間の両端部切羽で同時に切り拡げを行うものである。切り拡げにあたっては、掘削振動の軽減を図るために自由面形成速度の速いEG-Slitterを活用し切羽外周部にスリット(自由面)を形成した後で、電子雷管による制御発破等を行った。その結果、新幹線トンネル内で管理基準値1kineを下回る計測値を確保しつつ、通常の割岩工法だけ採用した場合の約1/2の工程で新幹線との交差部区間を掘削することに成功した。本現場で採用した掘削工法は、施工速度を極力落とさずに振動・騒音の低減(通常発破と計算比較すると1/10程度に低減)を可能とする、新たな試みにより生まれた技術である。
EG-Slitterの審査証明取得と本現場での活用実績を踏まえ、今後は消耗部品の効率的な部材選定や更なる耐久性の向上を目指す。また、西松建設、戸田建設両社の現場だけでなく、他社の現場への販売も積極的に展開していく予定である。

写真1
外周スリットの形成

写真2
制御発破後の状況

写真3
EG-Slitter

以上