2006年8月24日
西松建設株式会社
戸田建設(株)(社長:加藤久郎)と西松建設(株) (社長:國澤幹雄)は、新たに開発したポリプロピレン短繊維を用い、トンネル覆工コンクリートとして「繊維補強覆工コンクリート」を共同開発した。
「繊維補強覆工コンクリート」は、繊維混入による曲げ靱性を高めて剥落防止性能を向上させ、耐荷力および耐久性の強化・保持を目的として開発し、繊維分散性に優れるなど施工性に優れ、しかも低コストで実現できる。特に、高速道路など大断面トンネルや地山が悪い場合に有効な工法である。
本年5月、旧日本道路公団【トンネル施工管理要領(繊維補強覆工コンクリート編)】に規定される各種性能試験を実施し、日本高速道路株式会社(略称NEXCO)中央研究所へ提出し、受理された。
<背景>
社会資本施設を「長く、大切に」供用していくことが求められている。限られた予算で社会資本施設の長寿命化を図っていくためには、建設時のコスト縮減と同時に高品質、高耐久化技術が必要であり、また、建設後の効率的、効果的な補修・補強技術の開発が急務となっている。
戸田建設と西松建設は、1999年10月の業務提携以来、共同研究テーマの一つとして、コンクリート構造物の高品質・長寿命化を図ることを目的とした各種技術の開発を実施している。その一環として、両社は、新たにポリプロピレン短繊維を開発(特許出願済み 資料1参照)し、「繊維補強覆工コンクリート」を実現した。
<技術の概要>
本工法は、新たに開発したポリプロピレン短繊維(長さ40mm、換算直径0.7mm、十字断面、標準使用量0.3vol%)をフレッシュコンクリートに混入することでトンネル覆工コンクリートに必要な曲げ靭性能(コンクリート片の剥落防止)を付与した「繊維補強覆工コンクリート」である。
以下に本技術の概要を示す。
1、新しいポリプロピレン製短繊維
繊維とコンクリートとの付着強度向上を目的として、繊維の断面を十字にし、延長方向にはエンボス加工(凹凸加工)を施している。
2、高い曲げ靭性性能の付与
新しいポリプロピレン製短繊維を、フレッシュコンクリートに0.3vol%混入し、攪拌・打設することで、旧日本道路公団【トンネル施工管理要領(繊維補強覆工コンクリート編)】に規定される曲げ靭性1.4N/mm2を上回る。(資料2参照)
3、施工性(繊維の高い分散性)
コンクリート中の繊維の分散性(均一性)向上を目的として、繊維に油剤等を付着させるなどの製造上の工夫を施し、ファイバーボールの発生を抑制している。
4、工事費の低減
新しいポリプロピレン製短繊維の単価は、従来の同等品と比較して5~10%安価に設定しているため、全体工事費の低減が可能である。
<NEXCO中央研究所の技術基準達成>
本工法については、旧日本道路公団【トンネル施工管理要領(繊維補強覆工コンクリート編)】に規定される実施工を模擬した型枠を用いてコンクリートの打設実験を行い、繊維分散性や曲げ靱性など各性能試験結果において所要の基準をクリアした。(資料3参照)
本年5月、日本高速道路株式会社(略称NEXCO)中央研究所へ提出し受理された。
<今後の展開>
戸田建設(株)環境ソリューション部と西松建設(株)技術研究所では、現在、北関東自動車道や第二東名高速道路の大断面トンネル覆工への適用を検討中である。
今後は、各高速道路(株)をはじめ、国土交通省、地方自治体、各鉄道会社などの発注側各企業者へ積極的な技術提案・営業展開し、実トンネル覆工コンクリートへの適用を推進する予定である。また、トンネル覆工コンクリートにとどまらず、コンクリート片剥落防止対策の1つとして橋梁、高架橋等の各種構造物や建築構造物への適用も視野に入れて、技術提案・営業展開を図っていく。
資料1

資料2
曲げ靭性試験結果の例
旧日本道路公団【トンネル施工管理要領(繊維補強覆工コンクリート編)】曲げ靭性1.4N/mm2に対して、1.8N/mm2程度発現します。
※重 要:従来PP繊維とは市販のポリプロピレン繊維です。同一配合、同一養生条件で、当社内で比較試験した結果の一例です。

資料3
旧日本道路公団【トンネル施工管理要領(繊維補強覆工コンクリート編)】に規定される各種性能試験例(模型型枠によるコンクリート打設試験状況)

