2006年8月28日

戸田建設(株)(社長:加藤久郎)は、あらゆる術式に対応できる「コンバーティブルな手術室」を開発し2006年1月に新築開院した東海大学医学部付属病院に実装、情報システムなどを含めた包括的な提案により手術室の高効率な運営を実現した。

2003年4月から特定機能病院における入院医療費の包括化が始まっており、対象は全国の大学付属病院(特定機能病院)、国立がんセンター、国立循環器センターの計82病院の一般病棟への入院患者で、診断群分類によって決められた定額の入院料を支払う仕組みである。この、包括支払制度の導入が進む中、手術などは出来高払い制を残しており、今後手術室運営の効率化が医療機関の収益に大きな影響を与えることが予想される。
手術の件数が増えていけば収益が増加することになるが、それを実現するには手術室の運営効率を上げていく必要がある。「コンバーティブルな手術室」は手術室の運営効率を引き上げることに貢献する。

手術所要時間の短縮を考える場合、手術そのものの時間短縮は考えにくい。また手術前後の準備・片付け清掃の時間についても短縮化の工夫は可能であっても、もう一つの手術ができる時間を生み出すほどの効果は期待できない。手術時間の延長や緊急手術が発生した場合そのまま次の予定は繰り延べになり稼働率の低下を招くことになる。そこで、一つの手術室で効率を上げるよりも、複数の手術室で効率化を考えることで解決策を導き出せると考え、空いている手術室を効率的に利用し、予定した手術が遂行できる環境が整えば手術室全体の回転率が向上すると考えた。

複数の手術室で効率化を考える場合、今までの手術室ではいくつかの問題点が発生する。特定の術式専用室として整備された手術室では、他の術式に対応できず空いている手術室を利用するといった発想自体が成立しなくなってしまう。
「コンバーティブルな手術室」はあらゆる術式に対応可能なため、複数の手術室での運用対応が可能となり、手術室全体での高回転・高効率化が可能となる。

開発にあたっては、各術式ごとの手術室内レイアウトを検証、術式ごとの特徴を把握すると同時にコンバーティブル化の問題点を抽出する作業を行った。従来の手術室は5mx6mの長方形が一般的であったが、手術機器をレイアウトしてしまうとスタッフが動くスペースが十分では無く、これを改善するには長辺方向に7mが必要であることがわかった、次に様々な術式でのスタッフの立ち位置や機器の配置検討を行い、汎用性向上のための対応を検証した。特にどの術式においても麻酔医の位置が手術室のある一点から動かさずにすむことがわかり、コンバーティブル化に非常に有利であることがわかった。また、手術室の寸法は手術台が移動・回転することを考慮し、縦横の概念を取り払った7mx7mの正方形形状とした基本レイアウトを作成した。

次に基本レイアウトに基づいて原寸大モックアップを作成、第一段階として机上では検証しにくい無影灯・シーリングペンダントなどの吊物や手術スタッフの動き・機器レイアウト・ワイヤリングについての確認作業を病院スタッフ・医療機器メーカーとともに行った。
第二段階では、先に検証した事項を反映した形で原寸大モックアップを完成させ、実際の周辺機器をモックアップに持ち込み詳細な検証を行った。検証は患者入室から麻酔導入・加刀・終刀・覚醒・退室までを網羅、各ステージでのスタッフ・機器の在り方に齟齬の無いことを確認している。

同病院では、中央手術部門に22の手術室が配置されている、各手術室は「コンバーティブルな手術室」のシステムを導入して設計されており、複数手術室での効率運用を実現している。

戸田建設では、「コンバーティブルな手術室」と合わせて「手術進捗情報システム」を開発、その他の効率化に向けた数々の工夫を施した手術室は、今年1月に開院した同病院で既に使用され、開院半年にして飛躍的に効果が現れている。旧病院と同じスタッフ体制でありながら、前年同時期に比べ、約30%も手術件数が増加していることで効果を確認している。戸田建設では同システムを導入して効果が期待できる6室以上の手術室を持つ病院に対し営業展開を進めて行く方針である。


モックアップ1:無影灯の検証風景


モックアップ2:整形外科手術レイアウト検証


手術室レイアウト検討図


完成した手術室

以上