2006年12月08日

戸田建設(株)(社長:加藤 久郎)と日本ヒューム(株)(社長:高尾 重道)とは、プレキャストコンクリート部材を用いた塔状構造物の汎用的構築技術として共同開発した「STEPSタワー工法」(Sharp&Tall Elevate Pc―blockS )の強度性能確認試験を実施しました。基礎構造物の急速構築法として実績の豊富なプレキャストブロックによる大口径基礎工法を応用したものであり、今回の実証試験の成果に基づき、風力発電タワーなどの構築法として実用化に向けた取り組みを積極的に展開していきます。

近年、地球温暖化などの環境問題がますます顕在化する中で、環境負荷の小さなクリーンエネルギーとして風力発電が注目されており、さらに発電コスト低減のため風力発電装置の大型化が進んでいます。これまで、日本における風車のタワー部はほとんどが鋼製でしたが、このような大型化ニーズに伴い、高剛性で耐久性に優れ、定期的なメンテナンスの不要なコンクリート製タワーが着目されています。しかしながら、場所打ちコンクリートによる従来の構築法では、現場での鉄筋・型枠の組立、コンクリートの打設・養生が必要なため、工期の短縮とコストの低減が大きな課題となっていました。

本工法は、コンクリート製風力発電タワーにおける従来の課題を解決するため、高強度コンクリート製プレキャストブロックを使用してタワー重量の軽量化を図り、これをPC鋼棒により緊張しながら積み重ねて完成させる構築法です。プレキャストブロックによる大口径基礎工法では通常同一断面で構造体を構築しますが、塔状構造物の場合には上空にいくにしたがって構造上必要となる断面は小さくても構いません。本工法の大きな特徴は、大きさの異なるプレキャストブロック同士を一体化できる調整ブロックを新たに考案し、階段状に尖塔型タワーを構築する構造を実現したことにあります。この調整ブロックは、上下に接するそれぞれのプレキャストブロックを独立にPC鋼棒で固定することにより一体化を図ります。プレキャストブロック工法におけるこのような可変断面の構築法を提供することにより、プレキャスト化による工期短縮効果を確保しながら、構築コスト縮減に目途をつけました。

高さ60m級の風力発電タワー10基を施工する場合、場所打ちコンクリートによる場合と比較して工期を約1/4、コストを約30%縮減できます。また鋼製タワーと比較しても、同程度の工期で施工でき、コストは約15%縮減できるため、鋼材費高騰によるコスト増を回避する工法として有効です。


今回実施した実証実験は、構造成立性の核となる調整リングの強度性能確認を目的としたもので、実物大の約1/4.35の供試体を製作し、調整リングを含めた6リングをPC鋼棒で緊結したものを試験体としました。タワー重量に相当する一定の鉛直力を作用させた状態で、風荷重や地震時慣性力に相当する水平力を正負交番に繰返し載荷して試験をおこなった結果、所期の強度性能を発揮することを実証しました。さらに新たに考案したタワー基部に設けられる点検のための開口部の構造形式についても同様の試験を行い、その妥当性を検証しました。


戸田建設と日本ヒュームは、今回の強度性能確認試験で得られたデータに基づき技術整備を図るとともに、工期短縮やコスト縮減を図れる工法として、実用化へ向け本工法を積極的に提案し、風力発電事業のみならず各種塔状構造物の構築を支援していく考えです。



上:試験状況、左下:調整リング定着部、右下:基部開口部
図-1 強度性能確認試験(2006年10月実施)


以上