進化し続ける戸田建設の超高層RC技術
2007年1月16日
戸田建設(株)(社長:加藤久郎)は、高品質の超高層住宅を実現する鉄筋コンクリート(RC)構造を開発し、54 階建住宅などに適用してきましたが、高強度化、免・制震化、プレキャスト化の3点について重点的に技術開発を推進し、グレードアップしたRC技術を超高層住宅に展開しています。
近年、都市部では、風ゆれに強く、経済的な超高層RC造住宅が数多く建設されています。戸田建設は、フレキシブルな住まい、安心できる住まい、長寿命の住まいをテーマに、高品質の超高層スケルトン・インフィル住宅を実現する「Super HRC(スーパー・エイチ・アールシー)システム」を開発して、既に 19 階建から 54 階建の超高層RC造住宅での実績を残してきました。
フレキシブル、安心、長寿命というテーマを実現するRC技術の鍵は、高強度化、免・制震化、プレキャスト化にあります。
フレキシブルな住まいを実現するには、住戸計画の自由度を高めるために、柱と柱の間隔(スパン)を大きくすることになりますが、柱の支える床面積が増加し、柱の荷重が増大するため、材料の高強度化が求められます。また、1フロアあたりの柱の数が減るので、地 震時に骨組の変形が大きくなります。そのため、地震国で、安心できる住まいの実現には、免震・制振(震)構造の採用が効果的です。さらに、長寿命の住まいの実現には、工場生産による高品質で耐久性の高いプレキャスト部材を使用することが望まれます。
戸田建設は、高強度化、免・制震化、プレキャスト化に重点を置き、RC構造の技術改良を積み重ねて、グレードアップしたRC技術を超高層住宅に展開しています。
高強度化の面では、圧縮強度 100N/mm 2 クラスの超高強度コンクリートは、既に設計施工の実績があり、更なる強度の増大を図って構造実験を行い、150N/mm 2 クラスの超高強度コンクリートを使用したRC柱を西松建設との共同研究で開発しました(図―1)。この成果に基づき、130 N/mm 2 の超高強度コンクリートを 49 階建超高層住宅に適用しました(図―2)。
この住宅は、東京都中央区に建設中の晴海3丁目A1棟で、地下1階・地上49階建、最高高さ約169m のRC造です。骨組は、フレキシブルな住空間を実現するデュアルフレーム ( ※ 1 ) 構造を用いて、スパンの大きな住戸ゾーンを大型床スラブで支持しています。そのため、1本の柱で負担する荷重が大きくなり、1階では、最大130 N/mm 2 の超高強度コンクリートを採用しました。
( ※ 1 ) デュアルフレーム:外周側と内部の二重フレーム構造

図―1
150N/mm 2 クラスの超高強度RC柱の構造実験

図―2
49階建超高層RC造住宅
(東京都中央区・建設中)
免・制震化の面では、超高層RC造住宅への免・制震技術の採用を積極的に進めており、特に、独自に開発した制振技術(制震柱)は、既に 11 棟の超高層住宅での実績があります。
「制震柱」は、制振デバイスを柱中央に組み込んだ戸田建設独自のRC造間柱(特許工法)です(図―3)。制震柱は、コンパクトな大きさのため、集合住宅の共用部分などに設けることができますので、超高層住宅には適した制振部材です。制震柱の減衰力の更なる増大を図って、改良を積み重ね(図―4)、最近の超高層住宅に展開しています。北九州市に建設中の 28 階建超高層RC造住宅(図―5)も、その一例です。
この住宅は、福岡県北九州市小倉北区に建設中であり、地下2階・地上 28 階建、最高高さ約 100m のRC造です。この住宅は、当初耐震構造で計画されていましたが、福岡県西方沖地震が発生したこともあり、耐震性の向上とともに、柱スパンの拡大による住戸計画の自由度の向上を目的に、制震柱が採用されました(図―6)。

図―3 超高層RC造骨組と制震柱

図―4 減衰力を向上させた制震柱の構造実験

図―5
28階建超高層RC造住宅
(北九州市小倉北区・建設中)

図―6
28階建超高層RC造住宅の制震柱の施工状況
プレキャスト化の面では、従来から、柱、梁、床などにプレキャスト部材を用いたプレキャスト工法を採用して、高品質な構造体を短工期で実現してきました。例えば、54 階建住宅では、1フロア4日間の躯体構築サイクルで上棟し、躯体工期を従来に比べて3~4割程度短縮しました。しかし、超高強度コンクリートを用いる柱、あるいは柱と梁の交点となる柱梁接合部は、配筋が複雑で地震時に作用する応力が大きいため一体化が難しく、こ れまで現場打ちRC造としてきました。そこで、構造実験による検討を繰り返し行い(図―7)、超高強度コンクリートを用いた柱や柱梁接合部も含めて、全ての構造部材をプレキャスト化したオール・プレキャストRC工法を開発し、更なる品質と施工効率の向上を図りました(図―8)。この新しい工法を49階建超高層住宅に適用しました。
この超高層住宅は、前述した晴海3丁目A1棟であり、コーナー部は、柱のラインが強調されたアウターフレーム( ※ 2 )形式です( 図―2)。この部分のフレームに、オール・プレキャストRC工法を採用しています。
( ※ 2 ) アウターフレーム:外周側に柱と梁が見える構造

図―7
超高強度オール・プレキャストRC工法の構造実験

図―8
超高強度オール・プレキャストRC工法
最近、首都圏や関西圏の再開発物件、地方都市のシンボルタワーとして、超高層住宅が計画されていますが、今後は、高強度化、免・制震化、プレキャスト化の3点についてグレードアップしたRC技術を高性能超高層RC造住宅「 Super HRC( スーパー・エイチ・アールシー)システム」のメニューに加え、超高層住宅市場に展開していきたいと考えています。
