2007年2月2日

戸田建設(株)(社長:加藤久郎)は、建設工事における二酸化炭素(CO2)の排出量削減対策を実施していますが、その活動をさらに強化するため、モデル作業所を設定しCO2排出量削減対策を積極的に進めています。 また、作業の進捗に応じたCO2排出量を算出するため、これまで蓄積したデータからCO2排出量を設定するCO2排出量算定システムを構築中です。

1. はじめに

2005年2月16日の京都議定書の発効により、2008~2012年間に日本は1990年度比で温室効果ガスを6.0%削減することが義務付けられました。これを受けて建設3団体では、建設工事段階で発生するCO2の排出量を原単位(t-CO2/億円)で、2010年度までに1990年度比で12.0%削減する目標値を設定しています。
このような背景のなか戸田建設は、1999年度より建設工事におけるCO2排出量削減活動として、省エネ運転の教育、低燃費型機械の使用奨励、アイドリングストップ等のポスター掲示などによる関係者への意識付けや工事着手時の削減活動に関する課題の抽出・対策の検討などを行っています。また、建設工事におけるCO2排出量を把握するために排出量調査も行っています。
さらに、CO2排出権取引を見据えて、2005年よりモデル作業所を設定しCO2排出量削減効果の高い対策の発掘及び精度の高い排出量を予測する排出量算定システムの構築を精力的に行っています。

2. モデル作業所の設定

モデル作業所は、次の2点を目的としています。
① CO2排出量削減の活動メニューを充実させ、削減活動を定着させること
② モデル作業所で実施した削減活動で、効果が大きいメニューを全国に水平展開し、活動のスパイラルアップを図ること。
モデル作業所は、建設工事の種類(建築工事においては建物の種類、土木工事においては、工事の種類)ごとに選定しています。

CO2排出量削減の活動項目については、全作業所共通の項目と各作業所特有の項目に分けて展開しています。共通項目として、建設機械や車両のアイドリングストップ、日常点検、省燃費運転の励行、仮設電気の省エネタイプへの変更及び自動販売機の省エネ設定などを掲げています。また、その他に事務所内では、消灯の励行、省電力設定(パソコン、複写機)なども行っています。作業所特有の項目としては、設計や施工方法の見直しがあり、その一例を以下に示します。作業効率の向上や省力化等により燃料や電力などの使用量を削減・低減し、CO2排出量を削減しています。

  • 水道管敷設工事において、規定内の最小土被りへ設計変更を申し出て掘削深さを浅くし、発生土量と工期を圧縮することで、掘削重機および運搬車の燃料を16%削減
  • 延長が長い構造物の施工において、仮設備配置やコンクリート打設方法を工夫し、片押し施工から両押し施工に変更することで、機械併用と工期短縮を図り、全体使用燃料を47%削減
  • 地下室やトンネル坑内の照明にタイマーを設置し、作業しない時間を自動消灯することで、使用電力を20%削減
  • トンネル切羽にダストセンサーを設置し、坑内集塵機を自動制御することで、使用電力を20%削減

※各活動の削減数値は、計画段階で予測した排出量と実際に活動した際に計測した排出量の差です。

モデル作業所では、毎月のCO2排出量を運搬車両、重機械、設備等で使用する石油類(ガソリン、軽油、灯油、重油)、電気、ガス類(LNG、LPG)、上下水等に分類してCO2排出量を算出します。
このデータを分析すると、CO2排出量の増減の割合は、工事期間を通して一定ではなく、工事の進捗に伴って変化することがわかりました。これは、一つの工事の中には重機やダンプなどを使用するために燃料を多量に使用する掘削工事やあまり燃料を使用しない構造物の構築など様々な工程があるためです。
このように一つの工事で進捗状況によってCO2排出量は大きく変化するため、各工程の排出量を細かく調査し、実際の工事の状況に当てはめることで工事全体の排出量を精度よく算定することが可能となります。

(CO2排出量算定システム)

CO2排出量算定システムとは、工事積算データから工程に応じたCO2排出量を計算し、工事全体の排出量を予測するシステムです。このシステムの基本となるデータは、この数年の排出量調査により蓄積した実績値です。 システムを使用しないで算出したCO2排出量の予測値は、建設工事の種類毎に算出していたため実測値と大きな差が見られましたが、本システムを使用することで精度の高い予測値を算出でき、実測値との差を少なくすることができるようになります。このため、作業所では現実的な目標値を掲げることができ、さらに削減活動の効果も実感できるため、さらなる削減活動への取り組みが期待できます。

3. 今後の活動予定

京都議定書の「第一約束期間」が2008年1月から始まり、これにより今後さらにCO2排出量削減の活動は活発になり、詳細に渡る社会的要求が求められてくると推測されます。
戸田建設では、モデル作業所を通じて、CO2排出量削減効果が大きい活動を抽出し、その水平展開を図るとともに分類した作業内容についてのデータをさらに収集していき、算定システムの精度の向上を図っていく予定です。
さらに、今後の大きな課題としては、排出権取引の問題があります。東京環境取引所国産クレジット取引研究会に参加して、取引にまつわる仕組みについて現在研究中です。


〔活動事例〕
(1) 全作業所へ共通に展開できる項目
事例 ①


トイレの照明を感知システムによる自動消灯とし、節電に努めています。

(2) 作業所特有の項目
事例 ①

設計協議を行い、水道管布設時の掘削深さを浅くし発生土量と工程を短縮し重機、運搬車の燃料を16%削減しました。


事例 ②

構造物の施工において、片押し施工から両押し施工に施工方法を変更し、機械併用と工程短縮を図り全体使用燃料を47%削減しました。


事例 ③

坑内の照明にタイマーを設置し、未作業時間の自動消灯により使用電力を20%削減しました。


事例 ④

トンネル切羽にダストセンサーを設置し、坑内集塵機を自動制御することで使用電力を20%削減しました。

以上